相続税の「基礎控除額」を知ると、あなたに相続税が掛かるかどうかが分かる!
あなたが大切な人から受け取った相続財産。
この財産に対し相続税が課税されるのか、はたまた非課税となるのか。
その重大なボーダーラインを決める金額こそが、相続税における「基礎控除額」です。
・この基礎控除額をキチンと知ることにより、専門家に相続税の申告を依頼するか判断することも可能ですし、
・生前の内にどれだけ財産を次世代に贈与しておけば良いかなど、相続税対策を考える上での目安としても必要不可欠なものとなります。
今回はそんな、相続における最重要項目の1つである「基礎控除額」について、詳しく解説をしていきたいと思います!
目次
財産を相続したら、相続税って絶対に払わなくちゃいけないの?
はぁ・・・。
親父が死んでもう1か月か。
葬儀のバタバタで全然頭が回って無かったけど、親父から相続した財産の土地や預金。
この財産には相続税って掛かるのかな?
財産を相続した人達が全員、相続税を支払わなくちゃいけないなんてことは無いと思うけど・・・。
相続した財産って大体いくら位から税金が課税されるんだろう?
・・・・・。
よしっ、考えてても分からん!!
先生の所に相談しに行こう!
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・
ということで先生。
今回、うちの親父から相続した財産の土地や預金。
これらの財産には相続税って掛かるんでしょうか?
教えて下さい!
相続税においての最重要項目「基礎控除額とは?」
分かりました、一成さん!
ではまず最初に、一成さんのご質問(今回相続した財産に税金が掛かるか?)に答える為にも、相続税という税金の簡単な説明からして行きましょうか。
そもそも相続税とは、読んで字のごとく、相続が発生したときに国が徴収する税金です。
相続税は亡くなった方(被相続人)の家族が相続財産を受け取った場合、
その受け取った財産の総額に税金が掛かってきます。
ですので相続した財産が多ければ多いほど、
一成さんが支払う相続税の金額は大きくなって行きます。
・・・もう既に払いたく無くなってきました。
まぁまぁ落ち着いて下さい。
お父さんが残してくれた財産の全てに、相続税が掛かる訳じゃないんですよ。
相続する財産から、「基礎控除額」と言うものを引いた残りの財産に相続税が掛かるんです。
「基礎控除額?」
そうです。
一成さんがお父さんから相続した財産に対し相続税が課税されるのか、されないのか。
その重大なボーダーラインを決める金額こそが、相続税における「基礎控除額」です。
遺産の総額から借金やお葬式の費用を引いた額が、この「基礎控除額」を上回らなければ、
〝相続税の申告も支払いも必要ありません〟
基礎控除額の計算方法
「基礎控除額」は、以下のように計算します。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)
先生、「法定相続人」ってなんですか?
ざっくり言うと、相続財産を受ける権利を持っている人の事です。
法定相続人については、この記事で詳しく解説していますので是非一度読んでみて下さい!
では説明を続けますね!
先ほどの計算式を、一成さんのご家族に当てはめて見てみましょう。
今回亡くなられた一徹さんの財産を相続する法定相続人は、
・菊さん(一成さんの母)
・一成さん
のお2人なので、
基礎控除額=3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円
つまり、お父さんの残してくれた財産が4,200万円より少なければ、相続税を申告する必要も支払う必要もありません!
と言う事は、うちは相続税を払う必要がないかもしれない・・・?
詳しくはお父さんの財産を全て把握しなければいけませんが、財産の総額が基礎控除額の4,200万円を超えてしまっても、基礎控除の他にも控除はありますので、
適用されれば控除額がさらに増える可能性もあります。
基礎控除額は平成27年に減額されてしまった
実は平成26年の12月までは、相続税を支払う必要があったのは、相続が発生した人達全体の内4.4%の方達だけだったんですよ。
しかし翌年の平成27年度にはなんと8.0%にまで増えました。そして、平成28年度には8.1%に増えてます。
ではなぜ相続税の納税率が26年と27年で倍近く変動したのか?
一成さんはご存知ですか?
そういえば以前新聞で読みましたよ、先生!
先ほど話してた「基礎控除額」、実はこいつの額が平成27年の税制改正でガクーっと下がってしまったんですよね。
流石ですね! その通りです。
平成26年以前は、基礎控除額=5,000万円+(1,000万円×法定相続人の人数)
だったものがなんと、
平成27年以降は、基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)
にまで減額されました。
この基礎控除額の部分が下げられたことにより、今まで亡くなった人(被相続人)の財産を基礎控除額で削り切れていた層の人達も、全てを基礎控除額で削り切ることが出来なくなりました。
その結果、相続税を支払う必要が出る割合が26年から27年以降にかけて倍近く増えたんです。
ではここで分かりやすく、一成さんの家族の場合でシミュレーションをしてみましょう。
仮に一成さんのお父さんの財産額が7000万円とし、相続が平成26年より以前に発生していた場合、
基礎控除額=5,000万円+(1,000万円×2人)=7,000万円
が基礎控除額として相続財産から差引けることになり、結果納める相続税額は0円でした。
ですが今回、一成さんとお母さんが受けられる基礎控除額は、
基礎控除額=3,000万円+(600万円×2人)=4200万円
なので、差引き2,800万円もの財産が基礎控除額では削り切ることが出来なくなりました。
そしてこの2800万円の財産に対して相続税が課税されるのです。
これはひどい。
そうですね(汗)
平成26年以前と比べて財産の総額と法定相続人の数は同じなのに、
平成27年以降からは、同じ財産額に対して2800万円分の財産に対して相続税が課税されてしまいますからね。
法定相続人の数が多ければ、基礎控除額も大きくなる
はっ・・!
でも先生、僕と奥さんとの間に子供が2人いますし、
今回亡くなった親父にも兄弟がいるんです!
この親族は法定相続人にはならないんですか!?
僕と母だけでなく、生きている血縁者の人数を合わせれば、
相続した財産の総額を基礎控除額で削り切れるんじゃないですか!!?
一成さんが仰るとおり法定相続人の数が多ければ多い程、基礎控除額として財産から差し引ける額は多くなります!
しかし血縁者の全員が全員、法定相続人になることは出来ません。
相続が発生した際に法定相続人になれる人は、キチンと民法によって決められているんですよ!
次回はそんな、
「(相続順位図あり)相続の法定相続人の範囲と相続割合を網羅的に解説」
について話していきたいと思います。
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