相続税を払うタイミングっていつ? 相続において大切な〝3・4・10か月〟を解説
皆さんは相続税を払う『タイミング』や『期限』をご存知でしょうか?
所得税の確定申告期限は、毎年2月中旬~3月15日までと決められており、多くの方がこの1カ月間の期限を認識されていると思います。
ですが恐らく同じくらい多くの方が、
☑身内に相続が発生し
☑もしも相続税が課税されることになった場合、
〝その税金をいつまでに・どのタイミングで支払えばいいのかを〟
キチンと認識されていないのではと思います。
今回の記事ではそんな、相続税を払う『タイミング』や『期限』についてのお話と、
相続税の申告期限以外にも守らなくてはいけない『相続にまつわる2つのタイムリミット』について、
分かり易く解説をしていきたいと思います!
(10か月)相続税申告の期限と手続きの流れ
先生・・・。
先日教えて貰った『相続税の基礎控除額』を使って、親父の財産に相続税が掛かるかを計算してみたんですけど、
親父が残してくれた財産には、どうやら相続税が掛かりそうだと分かったんです。
そこでまた一つ先生に教えて欲しいんですが・・・。
相続税って、そもそもいつ払えばいいんですか?
確定申告みたいに、2月~3月の期間中に払わなくちゃいけないとか、
そんな期限って相続税にも設けられてましたっけ?
はい。
一成さんの仰る通り、相続税にも申告期限はキチンと設けられていますよ!
相続税の申告期限は、
➡被相続人が死亡したことを知った日の翌日から数えて、10か月以内に
➡亡くなった人が住んでいた地域を管轄する税務署に対して
相続税の申告を行わなければいけません!
『被相続人が死亡したことを知った日』ということは・・・、
うちの場合、親父が亡くなる時には家族みんなで看取りましたから、
うちの親父が亡くなった日から数えて10か月ということでいいんでしょうか?
その通りです!
なぁんだ!
じゃあうちの場合は、まだまだ申告の期限はずっと先ですね!
親父は1月に亡くなって、いまはまだ2月ですから!
申告期限の11月まではずっと先ですもんね。
確かに一成さんのお父さんの相続の場合、
相続税の申告期限(10か月以内)までは、まだまだ時間があります。
ですが相続においては、相続税の申告期限(10か月以内)よりもずっと前に守らなくてはいけない
『2つの期限』が存在するんです。
(3か月)相続放棄・限定承認の期限と手続きの流れ
まず相続が起こった際、遺された家族の皆さんは、
被相続人(亡くなった人)の財産を『相続するか、しないか』を選択しなければなりません!
➡財産を全て相続するのか(単純承認)
➡財産を一部だけ相続するのか(限定承認)
➡財産を全て放棄するのか(相続放棄)
などですね。
【相続放棄とは】
もしも相続が発生した際に、被相続人が遺した財産が資産よりも負債の方が大きかった場合には、遺された相続人は、その遺産を丸ごと放棄する権利があります
(※この場合、+の資産も-の負債も両方を放棄します)
【限定承認とは】
また、相続が発生した際に被相続人が遺した財産が
➡資産よりも負債の額の方が大きい場合や、
➡資産や負債の額が不明瞭で把握出来ない場合には、限定承認という制度も選択可能です。
【限定承認:資産よりも負債の方が大きい場合には】
亡くなった人から相続した財産の限度で、亡くなった人の借金を支払うことも出来ます。(※残された相続人は、相続財産の範囲内のみで借金を負えばok)
【限定承認:資産や負債の額が不明瞭な場合には】
また相続財産から亡くなった人の借金などを精算して、もしも財産が余れば、それを引き継ぐことも可能です。
そしてこの【相続放棄】と【限定承認】に関しては、
➡自分自身が相続人であると知った時から3ヶ月以内に
➡亡くなった方の住民票の届出のある場所を管轄する家庭裁判所に出向き、
➡必要書類とともに届出をしなければなりません。
でなければ、自動的に財産を全て相続する単純承認となってしまいますので、注意が必要です!
また次の様な場合にも、単純承認(財産を全て相続すること)になりますので注意が必要です!
➡相続人が、相続した財産の全部または一部を処分したとき
➡相続人が、限定承認または相続放棄をした後でも、相続財産の全部若しくは一部を
・隠匿したり
・私的な消費に利用したり
・相続財産と知った上で財産目録に記載しなかったときは
単純承認(財産を全て相続すること)となります!
【相続放棄】・【限定承認】についての、更に詳しい手続き方法や利用上の注意点につきましては、
以下の記事にて解説しています!
記事リンク
(4か月)準確定申告の期限と手続きの流れ
さて、
相続が発生した際、3か月以内に行わなければいけない手続きである〝相続放棄・限定承認〟の説明が終わりましたので、
次は、
相続が発生した際、4か月以内に行わなければいけない手続きである〝準確定申告〟の説明をしていきたいと思います!
じゅん・・・確定申告?
先生、何ですかそれ? 初めて聞きましたけど?
〝準確定申告〟とは
➡確定申告の必要な方が1年の途中で亡くなられた場合に、
➡相続人の方が亡くなった方の代わりに
➡1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して
所得税の確定申告を行うことを言います。
但し、
この準確定申告というのは、亡くなった方の誰にでも必要な手続きという訳ではなく、
必要な人というのは【下記の条件】に当てはまる方だけになります。
もしも上記の【準確定申告が必要な人】に亡くなられた方が該当する場合には、
➡相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に、
➡亡くなった方が住んでいた地域を管轄する税務署に
➡準確定申告書と相続人全員の連署で作成した確定申告書付表、その他の必要書類とともに申告書の提出をする必要があります。
その際に、
・税金が発生すれば納税を行い、
・生前に多額の医療費の支払いなどがあれば、逆に税金の還付を受けることが出来ます。
【準確定申告】についての、更に詳しい手続き方法や利用上の注意点につきましては、
以下の記事にて解説しています!
記事リンク
税金が払えない場合ってどうすればいいの?
相続税の申告を税務署に提出するまでの期限は、
➡親父が死んだことを我々家族が知った日から『10か月』の猶予がある。
でも、親父の財産を放棄したい時(相続放棄)や、
親父の財産の範囲内で親父の負債を返したい時(限定承認)には、
➡親父が死んだのを我々家族が知った日から『3か月』以内に手続きを行わなければならない。
それに、親父に不動産所得や事業所得などがあったり、個人年金みたいな雑所得が20万円以上あれば、
➡親父が死んだのを我々家族が知った日から『4か月』以内に準確定申告を行わなければならない。
ありがとうございます、先生!
これで相続に関する申告期限については、大分理解出来ました。
ですが、最後に1つだけいいですか?
大袈裟かもしれませんが、もしもうちの親父の相続税がメチャクチャ高かった場合、僕や家族がその相続税を全額払うことが出来ないなんてことになった時には、
一体どうすればいいんでしょうか?
成る程。
いえいえ一成さん、相続税が高くて払えないというのは決して大袈裟な話ではないんですよ!
実は意外と起こることなんです。
やっぱり!!
相続税コワイ・・・。
では、次回はそんな一成さんの不安を少しでも減らせるように、
【相続税が高くて払えない場合はどうするの? 相続税の延納・物納の納税方法やその他の手段を解説!】
というお話をして行きたいと思います!
【相続に関する全記事はこちら】
【贈与に関する全記事はこちら】
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