同族会社の株式の評価減の方法?

同族会社の株式の評価についてはとても難しく、相当な知識なくしては一般の人ができるものではありません。

また創業者などが死亡した場合には、その持ち株は相続財産となり相続税が課せられます。

 

その結果、遺された相続人が相続税の納税に苦しまれるケースや、後々の経営が圧迫されるということにもなりかねません!

ですので、同族会社の株式の生前の相続税対策はかなり重要な課題と言っても過言ではないのです!

 

 

私は、この同族会社株式の生前の相続税対策(1株当たりの株価を如何に安くするか)について、

金融機関の同族会社の社長に対する提案の是非について、

このような提案が金融機関から来たんですが、是非検討して欲しい

 

立て続けに2件の検討の依頼を受けました。

A金融機関の提案は、「貴社の資産構成の変更に関する参考資料」になっており、甲社㈱の評価時点ベースでの1株当りの株価額は450,000円となっており、社長の持株8,000株での相続税評価額は36億円となっている。
また、「資産構成の変更後」資料によれば、甲社㈱の1株当りの株価は150,000円となっており、社長の持株8,000株での相続税評価額は12億円となり、資産構成の変更を行なうことにより24億円相続税評価額が減少するとなっている。

相続税評価額が36億円から12億円と24億円も下がる要因は、甲社㈱と甲社㈱の100パーセント持株会社の乙社㈱が合併して、「新甲社㈱」を設立し、新甲社㈱名義で100億円の借り入れをして100億円相当の不動産を購入することにより、3年後には不動産の評価額60億円と借入金100億円との差額40億円の資産が減少したことになる(3年間は不動産の購入価額で評価されるため、評価差額のメリットはない)から同族株式の相続税評価額の価値を落とすことが出来るというシミュレーションです。

なお、B金融機関の提案は、「貴社資本変更による節税対策資料」になっており、A金融機関と同様に金融機関から借り入れを行い、借入金で不動産を購入して3年後の不動産の評価額と借入金の実額との差額について同族株式の相続税評価額の価値を落とすという方法です。

A・B金融機関ともに、まずは金融機関からの借入金で同族会社の1株当たりの株価を下げるという方法の提案をしているが、このようなシミュレーションは、低金利で儲けることが出来なくなった金融機関が自己の利益追求のための常套手段であり、表面上は尤もなように見える(実際に同族株式の相続税評価額は下がる)が、借入金で購入する資産は何を買うのか、その資産は何に使うのか、その資産を賃貸すれば収益はいくら上がるのかが不透明であり、それに対して金融機関からの借入金利息の支払いは必ずあるのであって、金融機関は返済能力に間違いのない企業に融資を持ちかけて自己の利益の追求をしており、そのような金融機関のシミュレーションには簡単に乗ることはできません。
バブル期に、相続税対策で金融機関から借金をしてマンションを建築し、不動産の評価額と借入金の評価差額で節税というものが流行りましたが、相続税対策どころか破産された方もおられましたので危険な提案です。
また、金融機関の甲社㈱の類似業種比準価額の算定では、対象事業年度ではいわゆる比準要素である①年配当金額、②年利益金額、③純資産価額の3要素の内、③純資産価額があるだけで、いわゆる比準要素1の会社になるため、Lの割合(類似業種比準価額に乗じる割合)が0.25になりますので1株当りの株価も高くなりますが、翌年事業年度は①配当を出したことにより比準要素は2になり、Lの割合は0.50になりますので1株当りの株価は下がりますが、配当を出せば1株当りの株価は下がる(年間配当10万円でも比準要素2の会社になりますので1株当りの株価は下がり、年配当金は少ないほど1株当りの株価は安くなります)ということを提示しない提案は融資ありきの金融機関の利益目的の提案にしか見えません。
上記で「Lの割合」という表現をしていますが、Lの割合を簡単に説明しますと類似業種比準価額(標本会社の数値を基に算定した価額)に乗ずる割合のことで、類似業種比準価額が100,000円、純資産価額(評価対象会社の純資産で算定した価額)が400,000円のように、類似業種比準価額よりも純資産価額が高い会社の場合には、安い価額の類似業種比準価額に乗ずる割合(Lの割合)が高い方が1株当りの株価は安くなるということです。
具体的には、
Lの割合1株当りの株価
比準要素1の会社100,000円×0.25+400,000円×0.75=325,000円
比準要素2の会社100,000円×0.50+400,000円×0.50=250,000円
Lの割合が0.6の会社100,000円×0.60+400,000円×0.40=220,000円
というように、Lの割合が高くなるほど安い価額を採用する割合が高くなりますから1株当りの株価も安くなる訳です。
なお、Lの割合は会社規模によって決まります。
つまり、金融機関の提案書ではこのようなことまで提案されておればその金融機関はお客さんの事を考えていると思えるのですが、節税のプロでありながら、それを回避して金融機関の利益追求のための融資(貸付金)ありきの提案は門前払いをされることを念頭に作成されているのでしょうか?