税務調査で暴かれた経理部長の犯罪行為!?調査官時代にあった本当のはなし

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秋山 清成

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    私が税務署に勤めていた時代、税務調査をしているといろんな場面にぶつかる事がありました。

    中には刑事事件に発展するようなケースも・・・。

    これからお話する案件は、そんな税務調査官時代にあったお話です。

    非上場会社の株式の評価方法は、1冊の本になるくらい難しい

    今回のお話をさせて頂く前に、非上場会社の株式の評価方法をかなりザックリとですが説明させて頂きますね。

     

    まず上場していない会社の株式を評価することは、とても難しく大変な作業です。

    上場株式であれば毎日証券取引所で売買が行われており値段はついているので、比較的簡単に評価額を出すのことは出来ます。

    ですが、上場されていない会社の株式の評価はそう単純ではありません。

    【中小企業の会社の株式の評価額(1株当たりの金額)を出すためには】

    その会社が所有している資産の全ての相続税評価額を計算する必要がある!

    (少し大きな会社になると)

    ・方々に土地、建物を持っており

    ・また、会社の事業用資産(機械装置や車両など)もあり

    ・もちろん現金、預金、有価証券などの金融資産などを所有している

    そしてそれら全てを評価し、そこから債務を引いて1株当たりの評価額を求める

     

    そして1株当たりの株価に被相続人の方が所有していた株式数を乗じて課税財産額を出す必要があります。

    相続税の申告書を作るのも大変ですが、それ以上に中小企業の1株当たりの評価額を求めるのは大変な作業なのです。

     

    前置きが少し長くなりましたが、今回のお話はその「株式の1株当たりの評価額」が正しく算定されているかを調査する為に、会社に出向いた時の話です。

     

    事前調査で判明していた銀行が帳簿に上がっていない。

    中小企業の創業者である方が亡くなられ、相続人として配偶者・長男・長女及び次男さん達が財産を相続されました

    そして会社の方はというと、被相続人のお父様が亡くなられたあと長男のAさんが社長として継がれることに。

     

    私はまずAさんに、会社の不動産が適切に評価されているかの確認をします。

    会社不動産の確認

    ・本社、支店及び工場や倉庫などの所在地の確認をし、

    ・図面を出してもらい

    ・奥行価格補正率などの調整率が正しく適用されているかなどの調査を行います。

     

    株式の評価額算定において一番難しいのは何と言っても「土地の評価」です。

    しかも、居住用資産と違って会社の敷地は広大なので非常に難しい。

    なので先ずは、不動産の評価について調査をし、次に順次会社の資産について調査をするのです。

     

    会社の資産は

    ・現金、預金、有価証券や

    ・機械設備、商品、車などの事業用資産

    ・会社が役員や従業員に掛けている生命保険などなど

    財産と呼ばれるものは全てが対象になり、これらを帳簿や現物などで全て調査します。

     

    まずは最初に預金残高の調査から行い、帳簿と預金通帳を確認したのですが、

    この時、事前調査で判明していた銀行が帳簿に上がっていない。

    数十万円というわずかであるが預金残高も計上されていない。

     

    私は社長に対し、

    『××銀行に取引があるはずですけど、帳簿にも計上されていませんね。』

    と指摘すると社長は変な顔をされ、

     

    『××銀行に取引はありませんけど・・・。』

    とおっしゃいます。

     

    私は社長のこの発言に疑問を抱きつつも、

    『そうですか、ちょうど昼の時間ですから、その件は午後からにしましょうか。』

    と言って私は外に同僚と二人で昼食に出掛けたのです。

     

     

    税務調査で暴かれた、経理部長の犯罪行為

    昼食を終えて会社に戻ると、調査をしていた会議室に社長・副社長・専務・常務と経理部長が勢揃いしていました。

     

    『皆さんお揃いでどうされたのですか?』と問えば、

     

    『申し訳ございません。午前中にご指摘を受けた銀行口座ですが経理部長が横領に利用していた口座らしいのです。

     

    『えっ!何ですかそれは。』

     

    『私も記憶にない銀行なので昼の時間に経理部長に確認したら、あっさりと白状したのです。

     

    いくらですか?

     

    1憶を超すと言っています。

    社長の横で経理部長はじっと床を見ています。

     

    『やってくれましたねえ。そんな金額ですと1年や2年の事ではないのでしょう。

    社長は気付かれなかったのですか。

     

    はい、全く分かりませんでした。

     

    これは刑事事件問題で、税務調査どころではないですね。

    税務調査は一旦保留にしますから、この件の目途が付いたら連絡してください。』

    と言ってその日は退社したのです。

     

    税務調査も悪いことばかりではない。社長が仰ったひと言とは

    この案件では、調査前に会社の取引銀行は把握していたのですが、残高も少なく(経理部長がこまめに横領したお金を引き出していた為)

    会社の株式評価に与える影響は少ないとして余り重要視しないで発言したのですが、まさかこのようなことになるとは思ってもいませんでした。

    税務調査で、従業員の不正が発覚したという話は稀に聞くことはありましたが、私が担当する調査事案でまさかまさかの出来事です。

     

    経理部長は3年間に及び不正経理を行い、会社のお金を横領していたのですが、

    税務調査で指摘されて、税務署に把握されたのなら全てがバレると直ぐに観念したようです。

     

    3か月後に調査を再開しましたが、横領金額は1憶2千万円で株式投資に流用していたらしく、約7割のお金は回収できたとのことでした。

     

    この件のあと社長に、

    税務調査に来ていただいて良かった

    調査がなければ、もっと被害金額は大きくなっていて回収も出来なかったかも知れません。』

    と非常に感謝されました。

     

    調査に行ってこのように感謝されるということは千件に1件もないので、非常に稀な出来事でした。

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