相続税の税務調査選定は、所得・法人税の調査選定とは全く違います!!
所得税や法人税と違い、相続税の調査と言うのは一度調査対象から外れてしまうと、再び調査対象になる事は滅多にありません。
滅多にないと言う事は、稀にあると言う事です。
今回は、相続税の調査はなぜ
➡他の税目と違って、調査対象から外れると再び調査対象になる事が滅多にないのか?
➡調査対象から外れたのに、再び調査対象になるのはどんな時か?
についてお話したいと思います。
目次
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調査省略になった相続税の案件が滅多に再び調査対象にならないワケ
調査をしないと決めた相続税の案件は、なぜ滅多に調査対象に復活することがないのか?
1⃣所得税・法人税と相続税の申告の性質の違い
2⃣相続税の調査・調査省略を決める方法
この2項目に分けて説明していきたいと思います。
1⃣所得税・法人税と相続税の性質の違い
➡所得税・法人税は毎年くり返し税金の申告書を提出するので【継続性】があり
➡相続税は、財産を持っていた方の死亡が原因となっていているので【臨時偶発的・単発】となります。
【継続性】があると言う事は、申告書の内容に少々の間違いがあっても、翌年も同じ人や法人から申告書が提出されますよね。
じゃあその時に、前年と翌年の申告書の調査を纏めて行う事もできるんです。
しかし、【臨時偶発的・単発】であれば、そうはいきません。亡くなった方の相続税の申告書が、翌年も、さらにその翌年も、と提出されるはずがありませんから。
提出されたときに調査をしておかないといけないのです。
2⃣相続税の調査・調査省略を決める方法
100人亡くなった方がいらっしゃれば、そのうち8人程が相続税の課税対象となります。
100人中8人であれば「少ないな」と思われるかもしれませんが、平成28年に亡くなられた、相続税の課税対象の方は約10万人もいらっしゃるんです。
その約10万人分の相続税の申告書を
➡【調査する】
➡【調査しない】
と振り分けて行くのですが、調査をするにしても税務職員の人数には限りがあります。
そこで【調査をする】と決めた案件に、さらに優先順位をつけていくのです。
このように約10万件の申告書を振り分けて調査をしても、また翌年、同じぐらいの量の申告書が提出されてくるので、一度調査をしないと決めた申告をもう一度引っ張り出して、再度確認・調査対象にするなんて事は、よっぽどの事がなければ行いません。
今回は簡単に説明しましたが、詳しい調査選定の手法は下記の記事で詳しく書いていますので、よければこちらもご覧ください!
調査しないと決めた申告が再び調査対象になる時
先ほど述べたように、一度調査をしないと決めた申告は【よっぽどの事】が無い限り再び調査対象になる事はありません。
その【よっぽどの事】と言うのは、投書。
いわゆるタレコミと言うやつです。
脱税をしたような方が自慢げに、
「こうやって脱税をした!」
なんてポロっと人に話せば、真面目に税金を納めている方は不愉快に思いますよね。
その話を聞いた方が税務署に投書を送ってこられるんです。
しかしながら、税務署に寄せられる投書には僻み妬みの投書も沢山あります。
その中で本当に調査対象に値するかどうかは、もちろん十分に見極める必要があるのですが・・・
相続税は最後の砦!?
少し話はそれますが、住民税や所得税・法人税など、皆さん色んな税金を納めて来られていますよね。
真面目に税金の申告をしてこられた方も、税額をちょっと誤魔化して申告している方もいらっしゃると思います。
皆さんに課せられる最後の税金が相続税となる訳なのですが、ちょっと誤魔化して申告して来られた方であれば、ここできっちり税金を回収しておかないといけません。
ですので、相続税は【最後の砦】と言われて重要視され、調査も厳しいものになっているのです。
税務署はこんな人が一番嫌い!
【最後の砦】と呼ばれるほど重要な相続税なのですが、真面目に納税をされている方が「こうやって脱税をした!」なんて自慢話を聞けば、真面目に納税をしている事を馬鹿らしく思って、同じように脱税を行うかもしれません。
脱税は犯罪ですから、そのような事に人を巻き込む発言をする人、
脱税をしたような人に対して税務署は、もういやと言うほど叩いて、徹底的に調査をします。
自慢できることをしている訳ではないのですから、少なくとも他人を巻き込まないようにして頂きたいものです。
余談ですが・・・
国税局・税務署勤務時代に私が感じたことなんですが、城下町にある税務署には何故か投書が多かったです。
当たっているかどうかは別として、どうしてかな?と考えたときに思いついたのが【目安箱】。
昔の城下町には、町人の意見を聞くために自由にお殿様に意見を申し上げるような仕組みがありましたよね。
そんな名残が今でも残っているんじゃないかなぁ、なんて思ってました。
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