相続税の税務調査を受けて得をする人もいる!?重加算税を課されたのに救われた納税者とは?

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秋山 清成

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    相続税の税務調査って怖いですよね。

     

    ちょっと誤魔化して申告をしてしまった人からすれば、

    「いつ調査に来るんだろう?」

    「重加算税を掛けられたらどうしよう・・・」と、気が気じゃないでしょう。

     

    しかし中には、税務調査で「自分が把握していなかった財産が出てきて得をした!」と言う方もいらっしゃいます。

     

    今回は、

    ➡相続税の申告を誤魔化して

    バレて重加算税まで掛けられたの

    ➡結果的に税務調査を受けて得をした

    何ともラッキーな人のお話をしたいと思います。

     

     

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    記事を読みたい方は、このまま下に読み進めて下さい。

     

    消えた8,000万円の行方

    まずは今回亡くなられた方の家族構成を説明したいと思います。

     

    ➡亡くなられた方は生涯独身の女性

    ➡両親はすでに亡くなっているので

    ➡相続人は三人の姉弟

    と、このようになっていました。

    この女性が亡くなられたので、相続人であるご姉弟が相続税の申告書を提出されたのですが、税務調査官があることに気が付きます。

     

    どうしてこのA銘柄と言う株の申告が無いことに気が付いたのかと言いますと、A銘柄と言うのは上場株式でしたので、この女性は生前にA銘柄1万株分の配当所得の申告をされていたのです。

    そして当時、この株は1株8,000円もしていました。

    女性が持っていらしたのが1万株ですから8,000万円がどこかに消えていた訳です。

     

    8,000万円もの財産が申告されていない訳ですから、当然税務署は調査に移行します。

    しかし、この女性が生前にA銘柄の株を売っていた可能性もありますから、調査へ移行する前にそこのところをしっかりと確認をしました。

     

    仮にA銘柄の株を売っていた場合、売却相当額のお金が

    • 証券会社に留め置かれているか、
    • 他の銀行に入金されているか

    のはずなのですが、それも見当たりませんでした。

    と言う事は、このA銘柄は

    • 申告から漏れているか、
    • 最悪は相続人が隠している可能性があるな、

    と狙いをつけて調査に移行しました。

     

     

    株を隠したのは誰だったのか?

    税務調査で臨宅調査をする場合には、相続人の他に、相続税の申告書を作成した税理士さんも同席します。

    亡くなった方のご自宅に集まって頂き、そこでいろいろと質問をするのですが、前回もお話したように、亡くなった方の経歴や病歴、趣味などの質問をした後に、

    「A銘柄の株式、1万株を持っていらっしゃったと思うんですけど、ご存じないですか?」

    「株の事を聞いたことはありませんか?」

    「株券を見ませんでしたか?」

    と尋ねたところ、全員「そんな物は知らない」とおっしゃったらしいです。

    そうなると税務調査官は、勝手に家の中を探すわけにはいきませんから

    「そうですか、では皆さんがまだ確認されていないところにあるのかもしれませんから、家の中の重要なところを見せて頂いてもいいですか?」

    と、家の中を確認するためにお伺いを立てます。

    ここで言う重要なところと言うのは

    • 金庫の中
    • 仏壇の引き出し
    • 預金通帳や印鑑を閉まっているところ

     

    と言うような所になるのですが、税務調査官が「見せてもらってもいいですか?」とお伺いを立てたところ相続人である長男が猛烈に怒り出したそうです。

     

     

    「税務調査は任意だろう!そんな所を勝手に見るのか!!」と。

    見せて頂けるようにお伺いを立てたのですから勝手に見るなんてことは無いのですが、その長男は猛烈に怒って収集がつかなくなってしまったので、税務調査官は「また日を改めます」と言って税務署に帰ってきました。

     

    ・・・ここまで読まれた方は【誰が株を隠していたのか】もう分かりましたよね。

     

     

    財産隠しで重加算税

    税務調査官の報告を受けた私は、同席した税理士さんに連絡を取って税務署に来てもらいました。

    そこで「A銘柄の株式1万株のことを先生は三人から聞いてませんでしたか?」と質問をたところ、

    税理士さんは「いいえ、私も知りません」とお答えになったので、

    「先生、すみませんがA銘柄の株式1万株は、そのお兄さんが持ってますから、先生がお兄さんを説得して出させてください」とお願いをしました。

    税理士さんは「えっ?」と言う顔をされていたので、

     

     

    「お兄さんが隠している株式を出さないのであれば、

    ➡A銘柄の幹事証券代行であるところに、

    ➡A銘柄の株が売られていないか毎月照会します。

    ➡売られるまでずっと毎月照会します

    ➡そうすれば売れない株になりますから宝の持ち腐れになりますよ。

    それも含めてお兄さんを説得して下さい」と言っておきました。

     

    すると翌日、

    「ありました」と言って税理士さんが来られました。

    当時はまだ証券保管振替機構(ほふり)ができる前で、株券は現物で持っていた時代でしたから、1万株の株券を持って税務署に来られたわけです。

     

    今回の追徴課税は約3,000万円(本税※株式に対する相続税+重加算税)でしたが、株式を売ってすぐに納めて頂きました。

    株式は約8,000万円で売れますから、追徴課税約3,000万円を払っても約5,000万円は相続人の手元に残った形です。

     

    なぜ重加算税まで払ったのに得をしたのか?

    追徴課税で3,000万円を納めることになった相続人ですが、この方は結局バレて得をしたんです

     

    今までの話の流れでお判りになられた方もいらっしゃると思いますが、この話は平成3年か4年ぐらいの話でして。

    これ以降バブルがはじけたんですよね。

     

    1株8,000円だったA銘柄の株式は1株2,800円にまで下がりました。

     

    「なるほど、税務署に言われても隠し持っていたら、税務調査の後で株を売ったとしても2,800万円にしかならないのか。この人は株を売って追徴課税を払っても5,000万円も手元に残ったんだから、確かに得をしてるなぁ」

    と納得されたかもしれませんが、この相続人の方が得をしたのは実はそれだけはありません。

     

    何故なら例え株価が下がったとしても、追徴課税の額は変わらないのですから。

     

    申告する財産の額は、亡くなられた日で計算します。

    もしA銘柄の株を売らずに持っていて、税務調査がバブル後に行われたとしても、追徴課税の額も亡くなったときの株価で計算するのです。

    バブル後であればA銘柄の株を全て売却しても2,800万円にしかなりませんよね。

    つまり、追徴課税を3,000万円納めるように税務署から言われても、200万円足りないのです。

     

    もし調査を受けたときに株を隠したままでいたら、

    • 税務署の目は怖い
    • 株価は下がる
    • 脱税した負い目が圧し掛かる

    と言った三重苦を負うところでしたが、素直に提出をしたので手元に5,000万円残ったのですから結果オーライでしたね。

     

     

    亡くなった人の財産を把握するのは大変な事

    亡くなった方の財産を全て把握するなんて、亡くなった本人でないと難しいですよね。

    把握していなかった財産があっても、故意に隠していたのでなければ重加算税は掛かりません。(過少申告加算税や延滞税は掛かりますが、重加算税に比べれば税率は低いです)

    税務調査官から「1株8,000円の株式が1万株あると思われます」と言われれば、相続税と多少のペナルティを払う事になっても自分たちの相続する財産が増えるわけですから、普通なら必死になって探しますよね。

     

    税務調査官が「家の中の重要な場所を見せて頂けますか?」と尋ねれば、

    「どうぞどうぞ!一緒に探してください!」

    「こんな物が出てきました!」

    「この書類は何か関係ありますか!?」

    って税務調査官に協力をして一緒に探すじゃないですか。

    それなのに、収拾がつかなくなるほど猛烈に怒ってしまえば「私が持ってます」って言ってるのと同じですよね。

     

     

     

     

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