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(譲渡所得)修正申告で発覚した驚愕の真実!地元の有力者が隠していた悪事とは

 
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秋山 清成
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私が某税務署に着任して2年目に、こんな出来事がありました。

 

私が普段と変わらず午前中の業務をこなしていたところ、上司から譲渡所得の事案を渡され、

「この事案の申告は譲渡金額が間違っているから、納税者に税務署に来てもらって修正申告させてくれ」

との指示を受けます。

 

事案の内容は、売却価額は3,000万円として申告されているのですが、

土地を購入した法人が発行した、所得税法第225条に規定(既定の概要は後で解説します)されている

「不動産等の譲受けの対価の支払調書」に記載されている購入金額は3,088万円でした。

上司の指示は、差額の88万円が申告漏れになっているから、納税者に税務署に来てもらって修正申告させてくれという内容でした。

 

確かに、土地を購入した法人が3,088万円で買ったと支払調書に記載しているのだから、納税者の申告が間違っているのは確実です。

私は早速に受話器を取り、所得税の確定申告書に記載されている電話番号に電話をしました。

 

「もしもし、××税務署の譲渡所得担当の秋山と申しますがAさんをお願いします」

 

「はいAです」

 

「譲渡所得の申告をしていただいていますが、譲渡価額が間違っておられますね。

つきましては、修正申告をして頂きますので印鑑を持って税務署に来てください。」

 

相手は、いずれは税務署から呼び出しがあると覚悟していたのか

 

「はい、わかりました」

と神妙な声で応えられました。

修正申告の場になぜか地元の市会議員が同伴で登場

その日の午後であったが、午前中に電話を掛けた納税者が来ておられると受付から連絡があったので、すぐにA応接室に案内をして貰いました。

A応接室に入ると納税者本人を確認したが、本人だけではなくもう一人同じような年齢の人が同伴しています。

 

「こちらはどなたですか?」

と納税者に問えば、その方はちょっと高圧的な態度で名刺を出して、

 

「Bです」と自己紹介をされました。

名刺の肩書には、××市市会議員となっています。

 

今でこそ、このような地域の著名人が税務署に納税者と同伴するというようなことはないが、以前は度々あったのです。

このような人が来たからと言って、申告内容が変わるということはもちろんないのですが、後ろめたい納税者は藁をも縋りたい心境なのでしょう。

 

私は内心、

「おいおい、たかだが88万円のことで市会議員同伴かよ!」

と思いましたが、もちろん口には出しません。

 

本人に対して「申告内容が間違っていますね。いくら間違っているのですか」と問います。

このような場合は、全て調査済みで分かっているような顔をして問うのです。

 

あえてこちらから、

「88万円間違っていますね、つきましては修正申告してください」

などとは決して言いません。

こちらが把握している金額と違う場合があるからです。

 

 

そしてその私の問いに対し本人から驚くべき答えが返ってきます。

「3,088万円です」

 

 

私はほんの一瞬「・・・・」です。

 

相手に悟られない様に私は直ぐに気を取り直して、

「3,088万円ですね、結構でしょう。」

「合計6,088万円ということでいいですね。その金額で修正申告書を作りますから、ここでお待ちください」

と言って部屋を出ました。

 

私は急いで部署に戻り、上司に対し

「朝、指示いただいた案件の納税者が来ているのですけど、

譲渡金額が3,088万円間違っていると言ってます!と報告すると、

 

上司も一瞬「・・・・」です。

 

上司が気を取り直し「譲渡金額は3,088万円じゃなく6,088万円か?」と私に聞きます。

 

「はいそのようです」

 

「何故そんなに相場よりも高い金額で売れたんだ?」

 

事情は修正申告書に押印してもらってから聞きます。市会議員も同伴しています」

 

「分かった。」

 

地元の有力者が隠していた悪事

私はそのまま修正申告書を作成し、A応接室に戻り、修正申告書に押印してもらい、追加の本税額と加算税の説明をします。

ちなみにこの時に説明した追加の税額は

・本税額が約587万円

・重加算税が176万円

・合計約763万円です。

 

ここで市会議員が口を出して来たので、てっきり

「重加算税は勘弁していただきたい」と言うのかと思いきや、

実際には彼はこのことで口を出して来たわけではありませんでした。

 

彼は、

「この事は本件の周りの地権者には言わないでいただきたいのです!!」

と言われたのです。

 

税務職員には国家公務員法に守秘義務(仕事上知り得たことは他に漏らしてはならない)があるので、

もちろんのこと本件のことを他の地権者に言うことはないのですが、何か事情があるようなので私は市会議員のその方に聞いてみました。

 

「なぜですか?」

 

「・・・実はこの方(納税者本人)は、この地域では有力者なのです。

「この方が本件の土地を坪3万円(平均水準より安くで売却したとすると、他の地権者も坪3万円は仕方ないとして売買に応じる可能性が高い。」

「なので坪3万円で3,088万円の契約書を作成した経緯があります。」

「だから他の地権者にこのことが知れると、周りからすごい非難を受けることになり困るのです!!」

 

彼らはどうも追徴の税金額はいくらでもよく、周りにこのことが知れ渡ることの方が恐怖であるらしいです。

 

「契約金額が3,088万円ですか。それなら3,000万円は何なのですか?」

 

「協力金みたいなものです・・・」

と本人が答えます。

 

「なぜ3,000万円で申告したのですか? 契約書の金額が3,088万円なら申告金額は3,088万円でしょ?

 

「同じような金額だったので3,000万円と思い込んでいましたので、3,000万円で申告してしまいました」

 

「はい、分かりました。周りの方には言いません。」

「しかし、あなたと同じように協力金を貰った方はおられないでしょうね?」

 

「はい、私だけです・・・。」

 

 

このようにしてこの案件は終了しましたが、

もし本人が申告金額を3,088万円で申告していたならば、「不動産等の譲受けの対価の支払調書」と合致することになり、

坪単価もその地域の相場よりも少し安い金額だったので、申告内容は正しいとして闇に葬られていた案件でした。

 

土地開発業者の説明にはご注意を

ちなみに当コラムを読んでおられる途中で、

3,000万円の「不動産等の譲受けの対価の支払調書」は税務署に提出されてなかったの?

と思われる方もいらっしゃったと思います。

 

なぜ提出されていなかったかは、3,000万円はその付近の土地開発を行った会社がその付近の土地を有利に買い占めるために支払う協力金(いわば内緒のお金)なので、

税金分は会社が負担する(会社の経費には計上しない)ことも約束になっていたらしく、

3,000万円の「不動産等の譲受けの対価の支払調書」は税務署に提出しなかったのです。

 

私の場合は売却するような土地は持っておらず、住む家のみなので心配ありませんが、大きな区画の開発が行われるような場合、

「地域の有力者の××さんは坪〇〇万円で売ってくださった!!」

などの土地開発業者の説明があったとしても、

「言葉通りには信用してはいけないなあ」と教えられた案件でした。

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