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書面添付をして得をするのは納税者じゃない!一番得をするのは税務署です!【国税OBが語る】

 
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秋山 清成
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以前の記事で、

『相続税においては、書面添付制度を行ったとしても税務調査の確率は下がりません!』

というお話をしたのですが、

今日は相続税における書面添付制度の裏側をお伝えする第二弾となります。

 

一般的に書面添付をすれば税務調査に入られる可能性が下がると言われている当該制度、

ですが、書面添付制度があることによって一番得をするのは、実は『税務署』なんです。

 

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書面添付制度の簡単な概要

まず話の本筋に入る前に、書面添付制度というのはどういったモノなのかという、簡単な概要部分についてお話します。

①まず税理士が税務署の代わりに、預貯金の入出金や家族名義預金などの有無について、納税者に質問や通帳等の確認を行います

②そしてこれをまとめた書面を申告書とセットで税務署に提出する
(※この際の書面に税理士が虚偽の記載を行うと、懲戒処分の対象となる可能性が高い)

③これらを行った場合には、申告書を提出した後の税務調査の可能性が下がると、こう言われているものです。

実際にネット上では、
・書面添付をしているので税務調査を受けたことがありません!とか、
・書面添付をすることで、税務調査の確立が25%→3%になります!
などと謳われていますね。

わたしは元税務調査官という立場から、今まで上げた記事の中で「相続税の申告に書面添付をしても殆ど意味がない」と言って来たんですが、

先日国税庁から公表された「書面添付割合」を見てびっくりしました!

この下の表は、税務署に提出された所得税と相続税・法人税の申告書に、
どれだけ書面添付がされているのか、という割合なんですけど

 

相続税の割合がグンを抜いて高いんです。

この表を見ると、
・所得税が1.4%
・相続税が20.1%
・法人税が9.5%となってるんですね。

しかも、所得・法人の書面添付の割合がほぼ一定なのに対して、相続税の割合は年々増えて行ってます。

繰り返しになりますが、元税務調査官としての立場で言わせて貰えば、

【相続税の申告に書面添付をしても殆ど意味がありません】

これが所得・法人でしたら話が別ですよ!
所得・法人なら、同じ税理士や税理士事務所が何年も担当しますから、税理士が内情もよく把握しています。
内情を知っている税理士が添付した書面には信用性がありますから、書面添付をする意味もあるんです。

 

ですが!
相続は突然発生しますから、亡くなった方の生前のことを知らない税理士が、その方の申告を担当することになってしまいます。

相続人の方達でさえ、亡くなった方のことを把握するのは困難ですから、相続税に添付されている書面には、信用性が乏しいと言わざるを得ないんです。

ですが、公表された書面添付の割合を見ると、実に相続税の申告の内、5件に1件は「書面添付」がされていることになります。

これは
・税理士が進んで「書面添付」をしているのか?
・相続人が「書面添付」を望んでいるのか?

そこのところは良く分かりませんが、

一つ考えられるのは、
所得税や法人税の経営者と違って、殆どの相続人の方は、税務調査自体を受けた経験が無いものですから、調査を怖がっておられます。

ネット上では、『「書面添付」をすると「調査割合が減ります!」』
という話が沢山掲載されていますので、相続人の方が、書面添付という制度に飛びつきたくなる気持ちも、まぁ、分かります。

税理士事務所の方も、こういった心理が分かっていますから、当然
「当事務所は書面添付を行っています」と、宣伝しています。

「税務調査が怖い、書面添付をして欲しい!」と思っている相続人の方は、「書面添付をしています!」と謳っている税理士事務所に依頼をされることでしょう。

相続税申告の書面添付割合が多いのは、こういった、
・相続人と
・税理士事務所
双方の思いが影響してるんでしょうね。

しかしですね、
「申告書に書面添付をして貰った!これで税務調査を受けなくて済むぞ!」

と喜んでいてはいけません。

 

相続税の申告に対して「書面添付」をすると、
・逆に税務署に塩を送ることになり
・かつ調査官の餌食になるんです!

そもそもですね、ここが非常に大事なポイントなんですが、

「書面添付をして下さい!」って勧めてるのは、国税庁なんです。

 

税金を徴収する側の国税庁が、以前の記事でも言いましたように、
名義預金の様な、亡くなった方か相続人の物かあやふやな財産があるのに
【書面添付をしたら調査をしない】

なんていう図式を作る訳がないですよね。

ではなぜ国税庁が「書面添付」を勧めるのか、なんですけど、

それはズバリ!
「税務署が人出不足だから」、なんです。

まず、「相続税の申告における書面添付」というのは、
・税理士が税務署に成り代わって
・亡くなった方の過去の預金通帳の出入りを確認し、また、
・家族名義の預金内容を検討して
・その結果をもとに
・相続税の申告書を作成するんです。

そして、書面添付に関する以前の記事でも、何度も言っていますが、
「書面添付の有無は、調査対象になる・ならないに〝一切〟関係ありません!」

調査対象になる・ならないは、税務署が持っている情報と申告書の内容で決まるんです。

ですから、「書面添付が有るから」と、調査対象から外れることは、相続税の調査においては、全くありません。

国税庁が書面添付を勧めているのは、

・名義預金などの亡くなった方か、相続人か、この判断が難しいグレーな財産も、全部申告させて、
・調査官が手間をかけなくても税金を取れる様に、
・本来は相続人に寄り添うべきである税理士を、税務調査官にしてしまおう!

こういった思惑があるからなんです。

と言いますのも、
近頃は、所得・法人・相続税と、どの税区分でも申告書の提出件数が増加傾向にあります。

そうなると、各税務署の事務量が増えるわけですが、税務職員の増員数は少ないんですから、当然、税務調査官1人当たりの負担が増えることになります。

なので調査官は、日々の調査事務に圧迫されて、調査に割ける日数が削られてしまっているんです。

もう30年以上前になりますが、私が30代でバリバリの調査官だったころは、調査官1人あたり、年間16件くらい調査を担当するのが普通でした。

それが今では年間8件くらいなんですね。
どれくらい人手が足りていないのか、よく分かります。

国税庁が書面添付を勧めるのには、こういった裏の事情があるんです。

  
そりゃあ税務調査官目線で、税理士に相続税の申告書を作成させたら、

調査対象になるような、名義預金などの微妙なものは、最初から亡くなった方の財産として計上する訳ですから、

調査になることは100%ない訳ですよね。

そういう意味では「書面添付をすると調査対象になる可能性が減ります」という謳い文句に、間違いはないんですが、

 

でも、皆さん良く考えてください。
例えば、お父さんやお母さんがあなたの名前で貯めてくれていた預金・・・
それって『自分のお金』だという感覚がありませんか?

それを亡くなったお父さんやお母さんの財産として、名義預金として申告する気持ちはありますか?

「税務調査が怖いから書面添付をして欲しい!」ということであれば、
このお金は【あなたの物】ではなく【お父さんやお母さんの財産】として申告して、税金を納めることになるんです。

自分がお金を出して雇った、自分の味方のハズの税理士が、税務調査官に成り代わって相続税の申告書を作成するんですから。

 

中には相続人の利益を守るために、亡くなった方の財産か、相続人の財産か、判断が怪しい部分を無理に区分して、書面添付をしている税理士さんもおられるんですが

 

調査官時代に、こういった調査事案にあたった時には、もう本当に「ラッキー!」という気分でした。

それは何故かというと、
【キチンと区分がされてて、調査をする必要がないから】ではありません。

そうではなくて、
【区分した所をつつくだけで追加の税金がとれるから】なんです。

どういうことかといいますと・・・
元税務調査官として本音を言えば、実は名義預金って、調査をするのが結構大変なんです。

・銀行照会をして、亡くなった方と相続人の間のお金の流れを解明して
・預金の管理を誰がしていたのか、
・届出印はどんなものなのか
と、一から証拠集めをして、
その結果を相続人と税理士にぶつけるという行為は、本当に骨が折れるんです。

 

そこに、ですよ、

・これは亡くなった方の財産
・これは相続人の財産と、

わざわざ書かかれた書面を添付して、申告書を提出すれば、

「名義預金があります!」

と言っているのと同じなんです。

 
亡くなった方の物か、相続人の物か、あやふやな所を無理やり区分してますから、どうしても齟齬が出てくるんです。

税務調査官からすれば、苦労して名義預金の証拠集めをしなくても、
『亡くなった方のものとした預貯金と、相続人のものとした預貯金・・・どこがどう違うんですか!』と、

その齟齬をつつくだけで追加の税金を取れるので、名義預金の調査をする手間が省けて楽なんです。

 

最後に今日の記事のおさらいになりますが、

「書面添付の有無は、調査対象になる・ならないに一切関係ありません」
調査対象になる・ならないは、税務署が持っている情報と申告書の内容で決まります。

「書面添付が有るから」といって、あなたの申告書が調査対象から外れることはありません。

相続税の申告においての「書面添付」というのは、
・名義預金などの、亡くなった方か、相続人か、この判断が難しいグレーな財産も、全部申告させて、
・調査官が手間をかけなくても税金を取れる様にする、

或いは、
・亡くなった方の物・相続人の物と、無理やり区分をした、
調査官が齟齬を突くだけでいいような資料を提供して貰って

・税務署が追加の税金を取り易くする

 

こういう制度なんです。

以上のことから相続税の申告においては、書面添付をしても決して、相続人の為にはならないんですね。

そりゃ~亡くなった人の物か、相続人のものか、白黒はっきりしない預金を、全額申告してしまえば、税務署は何も言ってきませんよ!

 

でもですね、税理士が相続人の利益を守ろうとするのであれば、

グレーな部分を全部申告するのではなく、税務署が名義預金の事実を証明できない様なモノに対しては、

敢えて申告を見送って、調査の段階で全額ではなく、納める税金が少しでも減る様に全力を尽くす、これが本当の税理士の役目だと私は思っています!

実は私も、現職時代に税務署と税理士会支部との役員会の会合で「書面添付」をお願いしますって発言して来ましたが、税理士となって立場が変わりまして、今日は「書面添付」について、ついつい本音まで語ってしまいました。

 

 

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秋山 清成
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