これで解決!あなたの贈与が名義預金にならない為の6つのポイント

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秋山 清成

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    贈与のつもりが名義預金?

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    現在の相続税の調査において、銀行預金などで今一番問題になっているのが名義預金というものです。
     

    名義預金というのは、妻名義、子供名義、孫名義といったように家族名義になっていますが家族は実質の預金者ではないという預金です。仮名預金と違って、実在する人名義の預金です。
     

    家族名義の預金で、子供や孫に贈与税の基礎控除110万円の範囲内で毎年預金をしているような場合など、税務署は実際は誰の預金かという事を問題にします
     

    なぜなら、贈与者は贈与税の基礎控除の範囲内で毎年受贈者である子供の預金口座又は孫の預金口座に預金を繰り返していて贈与の形は整っているのですが、その実質は贈与をしたつもりになっているものが実に多いからです。
     

    贈与をしたつもりとはどういう事かといいますと、贈与といいますのは、民法上は贈与者が『あなたにお金を差し上げます。』、受贈者は『はい、頂きます。』という契約なのです。
    また、受贈者は贈与によってお金を貰った訳ですから、そのお金は受贈者が自由に管理運用できるという事になります。

     

    未成年の子供に贈与をした場合に、お金を未成年の子供の自由にさせるのかという難しい問題はありますが、基本的には贈与によりお金を貰った訳ですから受贈者が自由に管理運用するのが原則です。
     

    例として、このような預金があります。
    子供や孫名義で預金をされていますが、預金通帳(預金証書)や銀行カードはしっかりと贈与者である祖父母や父母が握っておられる。

     

    未成年者であれば、そのような状況であっても理解できないこともありませんが、中には既に嫁いだ娘の預金通帳や他で暮らしている次男や次男の子供(孫)の預金通帳などを贈与者が持っているのであれば税務署から名義預金として実質は贈与した祖父母や父母の預金と指摘されても反証はなかなか難しいでしょう。

     

    名義預金の判定ポイント6か条

    そこで、名義預金としての判定のポイントを示しますと、
    ①預金の出捐者(お金を出した人)は誰か

    ②預金の管理運用は誰が行っていたのか(通帳や銀行カードの管理は誰がしていたのか、また、満期時の更新などは誰が行っていたのか)

    ③預金の届出印鑑はどのようなものか(銀行で使用する届出印鑑は、贈与者と受贈者は同じ印鑑を使用するより別々の印鑑を使用する方が良い)、そしてその印鑑は誰が持っているのか

    ④預金の届出住所はどこになっているのか(嫁いだ娘の届出住所が実家のままになっている)

    ⑤預金利息は誰が受け取っているのか

    ⑥仮に、百十万円を超える預金がされていた場合、受贈者は贈与税の申告をしているのか
    等をチェックします。

     

    6つの判定ポイント詳細内容

    ①は、贈与の意思があれば当然に贈与者が出捐しているでしょうが、②から⑥が一つでも不備があると名義預金と疑われ、実質贈与者の預金として指摘される可能性が大きい事は覚えておいていただきたいし、今現在子供名義や孫名義で預金をしていらっしゃる方は②から⑥を一度チェックしておいてください。
     

    なかには、111万円や120万円を贈与して、その証拠を残すために税務署に贈与税の申告書を提出して、基礎控除の110万円を差し引いた差額に対する贈与税(111万円であれば1,000円、120万円であれば10,000万円)を支払っていらっしゃる方もおられますが、上記の②から⑤に不備があれば、贈与税の申告書を提出していてもあまり意味はありません。
     

    贈与税の申告書の提出は、一つのチェックポイントにはなりますが、贈与税の申告書を提出しているからといって、それで贈与が成立しているという証拠にはなりませんからご注意ください。
     

    また、右記の③で銀行で使用する届出印鑑は、贈与者と受贈者は同じ印鑑を使用するより別々の印鑑を使用する方が良いと書きましたが、複数の孫に対する贈与預金口座について、原則どおり違う印鑑を使用されていたのですが、ちょっとした手違いで孫名義の預金は実質贈与者の預金とされた例を紹介します。
     

    贈与者は祖父で受贈者は祖父の妻と長女と長女の子供の太郎と幸子でした。長女は嫁いでいて他県に住んでいました。また、贈与した預金を預けている銀行は贈与者が住んでいる近くの銀行の支店で、妻と長女と孫に贈与するのは毎年同じ日でした。
     

    贈与した預金は定期預金にされていたのですが、その定期預金の届出印鑑はそれぞれに違う印鑑でしたが、氏名まで入っているとても複雑な印鑑でした。
     

    贈与は長年行っておられて、各定期預金の金額はかなりの金額になっていました。
     

    贈与者が死亡されて、この贈与者を被相続人とする相続税の調査の際に、税務署は妻名義・長女名義及び孫名義の定期預金は実質被相続人の預金(名義預金)ではないかとしてひと通り①から⑥の状況を調べました。①及び②並びに④から⑥に実質被相続人の名義預金とする決め手は掴めなかったのですが、銀行調査に入り、届出印鑑について調べますと③に決め手が見つかりました。
     

    当初の各定期預金の開設当時の印鑑届は各人の印鑑になっていたのですが、贈与者の死亡直前の各定期預金の満期による継続の手続時において、幸子の定期預金の継続手続きの伝票に押印されていた印鑑は贈与者の妻の印鑑だったのです。銀行側も、印鑑が複雑で贈与者の妻の印鑑と贈与者の長女の子供の幸子の印鑑が酷似していたので印鑑相違とは気が付かなかったのでしょう。
     

    「それだけなのに何故それで贈与者の預金になるの?」と思われるでしょうが、理由は次の通りです。
     

    長女の子供の幸子が住んでいるのは他府県です。各人が印鑑を持っているのであれば継続の手続伝票に贈与者の妻の印鑑を押すはずはありません。幸子が未成年であったとしても、印鑑は贈与者の長女か長女の夫が保管しているはずです。
     

    この事は、贈与者が全員の印鑑を持っていたという証拠を残していたようなものです。
     

    贈与者が、全員の印鑑を持っていたという事は、各定期預金は贈与者がしっかり管理していたという事にもなるのです。
     

    銀行の印鑑はこのように、あまりに複雑でよく似た印鑑を使用してちょっとした手違いで証拠を残してしまったという例もあります。
     

    あくまでも贈与とは、贈与者が『あなたにお金を差し上げます。』、受贈者は『はい、いただきます。』が原則です。
     

    贈与者が、銀行印も銀行カードも管理していたら、税務署の調査によって、贈与したのではなく贈与したつもりだったと判断されて、「実質の預金者は被相続人だから相続財産に含めてください。」と指摘されるケースが実に多いのです。

     

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