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2023年以降の贈与で損をしたくない人必見!今後の生前贈与の最適解と今年中に実行すべき駆け込み贈与の最適額!

 
この記事を書いている人 - WRITER -
秋山 清成
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昨年の2022年12月16日、令和5年度の税制改正大綱が公表されました。

 

相続・贈与に関する改正点としましては、

①相続開始前の暦年贈与の足し戻し期間を、従来の3年から7年に延長するというものと、

『相続時精算課税制度』に年間110万円の非課税枠を設け、更に年間110万円部分までは申告も不要にするというもの、

この2点が大きな改正点となります。

 

もう少し詳しく解説をしますと、①の暦年贈与というのは、

毎年1月1日から12月31日(暦年)までのうち、

年間110万円までの贈与なら、非課税で財産を渡すことが出来るという制度です。

 

この暦年贈与に関して、現行の制度では、

『被相続人が亡くなった当日から遡って、3年以内に行われた贈与は無効にしますよ』、という足し戻し規定があるのですが、

2024年1月1日以降は、この足し戻し規定を『3年』から『7年』まで、段階的に延長するという改悪が行われることになりました

 

ですがその一方で、従来までは使い勝手が悪く、それ故に利用率も非常に低かった『相続時精算課税制度』が、今回の税制改正により大幅に改良されることにもなりました

 

この『相続時精算課税制度』というのは、

制度を利用する年の1月1日時点において、

60歳以上の祖父母や父母から、

18歳以上の子や孫に対して、生前贈与が行われた場合、

贈与者1人につき最大2,500万円まで、受取った金額が非課税となる制度です。(※2,500万円を超えた後の贈与に対しては、一律20%の贈与税が課税)

 

一見太っ腹に見えるこの制度ですが、
現行の取り扱いにおいては、相続時精算課税制度を使って贈与を行っても、
過去の贈与分というのは、相続が発生した際に全て相続財産に足し戻されることになりますので、まったく節税効果がありません
でした

 

ですが2024年1月1日以降は、相続時精算課税制度の利用を選択した上で贈与を行った場合、

年間110万円までの贈与部分に関しては、相続財産に足し戻す必要が無くなり、

更に年間110万円部分までは申告も不要にするという、素晴らしい改正が行われることになりました。

 

これにより、今後は将来の相続税対策を考えている多くの方が、この『相続時精算課税制度』を導入するかどうかを真剣に検討されることになるでしょう。

 

そこで今回の記事では、

①2023年以降は『暦年贈与』『相続時精算課税制度』どちらを使うべき?

②相続時精算課税制度の始め方

③相続時精算課税制度を利用する際の注意点

2023年中に行うべき駆け込み贈与の最適額

これら4つのテーマについて、一緒に見て行きたいと思います。

 

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記事で読みたいという方は、このまま下に読み進めて下さい。

 

①2023年以降は『暦年贈与』『相続時精算課税制度』どちらを使うべき?

では2023年以降、『暦年贈与』と『相続時精算課税制度』、皆さんの家庭においてはどちらを使うべきかについて、最初に結論から申しますと、

今年以降、多くの家庭において最適解となる生前贈与のスタイルというのは、こちらのスライド①番~③番の形となります。

 

まず2023年中というのは、まだ『相続時精算課税制度』に年間110万円の非課税枠が設けられておりませんので、き続き『暦年贈与』を活用して頂き、

法定相続人や法定相続人以外の孫などに生前贈与を行って頂く、

 

そして税制改正が行われた2024年1月1日以降は、

来亡くなった方の財産を受け取る法定相続人達には、『相続時精算課税制度』を使って毎年110万円を贈与して頂き、

法定相続人以外の孫達には、これまで同様に『暦年贈与』を使って贈与を行って頂く、

この様な形が今後のスタンダードになるでしょう。

 

なぜ2024年以降は、法定相続人かそれ以外かで、活用する贈与制度が変わるのかと言いますと、

その理由は冒頭でお話した年贈与の足し戻し』にあります。

と言いますのも、『暦年贈与の足し戻し』というのは、被相続人の後に何らかの財産を相続した方が象となるんですね。

 

つまり、財産を相続する権利のある法定相続人の方達への贈与は、

2024年以降は暦年贈与の足し戻しを回避するために、

年間110万円までの贈与部分は相続財産に足し戻さなくても良い『相続時精算課税制度』を選択し、

 

財産を相続する権利のない法定相続人以外の方達への贈与は、

『暦年贈与の足し戻し』を回避する必要がないので、

引き続き年間110万円までの贈与が非課税となる『暦年贈与』を選択する、これが2024年以降、ベストな選択肢となる訳です。

 

どうでしょうか。

この記事を読まれている多くの方が、この①番~③番のいずれかに該当していると思います。

その上で、外となる④番に当て嵌まる方もいらっしゃるでしょう。

 

この④番というのは、

● 贈与者となる方の年齢が現時点で60歳以上70歳未満とまだまだ若く、

● 所有する財産額が2億円以上というケースです。

この様な方におかれましては、

● 2023年中も、2024年1月1日以降も、

● 定相続人や法定相続人以外の孫達に対して、引き続き110万円を超える『暦年贈与』を行って頂ければと思います。

 

さて、ざっくりとした結論をお話した上で、ここからは、

表の番から順番に、何故この生前贈与のスタイルが最適なのかについて、詳しく見て行きたいと思います。

 

ⅰ75歳以上の男性・80歳以上の女性

まず、現在75歳以上の男性、又は80歳以上の女性に関してですが、

日本人の平均寿命が性が81歳、性が87歳ということからも、

2023年以降も『暦年贈与』1本で贈与を行っていくと、高確率で『相続開始前7年以内の贈与加算』の影響を受けることになります。

 

例としまして、

80歳の母親が、2023年1月1日から年110万円の贈与を息子と娘に行い、88歳の1月1日に亡くなった場合、

110万円×2人×8年分の、合計1,760万円の財産を生前に渡せたと思いきや、

続開始前7年以内の贈与加算』の影響により、2024年1月1日以降の贈与は全て亡くなった母親の財産として足し戻されてしまうんです。

 

ですので、そうならない為にも、現在75歳以上の男性、又は80歳以上の女性に関しては、

2023年中はまだ『相続時精算課税制度』に年間110万円の非課税枠が設けられておりませんので、き続き『暦年贈与』を活用して頂き、

定相続人や定相続人以外の孫などに生前贈与を行って頂く、

 

そして税制改正が行われた2024年1月1日以降は、

産を相続する権利のある法定相続人の方達への贈与は、暦年贈与の足し戻しを回避するために、間110万円までの贈与部分は相続財産に足し戻さなくても良い『相続時精算課税制度』を選択し、

財産を相続する権利のない法定相続人以外の方達への贈与は、『暦年贈与の足し戻し』を回避する必要がないので、き続き年間110万円までの贈与が非課税となる『暦年贈与』を選択する。

 

この様な形で贈与を行って頂ければと思います。

 

ⅱ財産額が8,000万円以下で高齢な方

次に、現在財産額が8,000万円以下の方に関してですが、

現在財産額が8,000万円以下で、贈与者の年齢が75歳以上の男性、又は80歳以上の女性の方は、論は先程と全く同じです。

 

平均寿命を考えた場合、高確率で『相続開始前7年以内の贈与加算』の影響を受けることになりますよね。ですので、

2023年中は法定相続人や法定相続人以外の孫などに『年贈与』を行って頂き、

2024年1月1日以降は、

法定相続人の方達への贈与は『年贈与』の足し戻しを回避するために、『続時精算課税制度』を選択して頂き、

法定相続人以外の方達への贈与は、引き続き年間110万円までの贈与が非課税となる『暦年贈与』を選択して下さい。

 

ⅲ財産額が8,000万円以下で60歳~70歳の方

では、現在財産額が8,000万円以下で、贈与者の年齢が60歳~70歳の場合は、の様な生前贈与がベストなのでしょうか。

 

こちらの、財産を7,500万円所有している佐藤家の一徹さん(70)が、

2023年1月1日から年110万円の贈与を一成さんと二郎さん、そして孫のみのりさんに対して行い80歳の1月1日に亡くなった場合、

2024年1月以降も『暦年贈与』を使い続けた場合と、

2024年1月以降から『相続時精算課税制度』を使い始めた場合で、終的にどちらの方が相続税がお得になるのかを見て行きましょう。

 

 

【2024年1月以降も『暦年贈与』を使う場合】

まず一徹さんは

● 70歳の時から、間110万円の贈与を子供達2人と孫1人に対して10年間、行っていますよね。

ですので、

● 70歳の時に7,500万円あった一徹さんの財産は、80歳の時点では4,200万円まで減っています。

 

そしてここに

● 7年以内の贈与加算(年間110万円の暦年贈与×2人分×7年の合計1,540万円)が行われますが、

● 4年以上前の贈与分に関しては100万円控除×2人分の合計200万円を引けますので、

● 最終的な足し戻し額は1,340万円となります。

結果、一徹さんの続税の対象となる財産額は5,540万円ですね。

 

ここまでの計算を見られて、「何で2026年から2029年の4年間に行われた贈与から、100万円×2人分の控除が行われるの?」と疑問に思われた方もいらっしゃるでしょう。

 

その理由としては、令和5年度の税制改正により、『相続開始前3年以内の贈与加算』が『7年以内の贈与加算』に延長されことで、

● 長された4年間の間に行われた贈与については、

● 額100万円までを相続財産に足し戻さなくても良い、という取り扱いになりましたので、

● 今回の計算においても、延長された4年間の間に行われた贈与から100万円控除を二人分行っているという訳ですね。

 

また、先程もお話しましたように、

● 亡くなった一徹さんの財産を1円も相続しない孫のみのりさんは、『与加算(足し戻し)』の影響を受けませんので、

● みのりさんに対して行われた過去の贈与は、全て有効な贈与となっております。

 

ではその上で、計算の続きに戻りまして、

● 一徹さんの相続税の対象となる財産額は、5,540万円ですので、

● 定相続人が子供2人の場合、5,540万円に対する相続税は134万円となります。

 

これが2024年1月以降も『暦年贈与』を使った場合の、佐藤家全体の相続税額ですね。

 

では次に、2024年1月以降から『相続時精算課税制度』を使った場合について見て行きましょう。

 

【2024年1月以降から『相続時精算課税制度』を使う場合】

まず一徹さんは、

まだ『相続時精算課税制度』の非課税枠が導入されていない2023年中は、

● 子供2人と孫1人に対して110万円の暦年贈与を行い、

● 孫のみのりさんに対しては2024年以降も暦年贈与を継続して行います。

一方『相続時精算課税制度』の非課税枠が導入された2024年1月1日からは、

● 子供達2人には『続時精算課税制度』を使って110万円の贈与を行いました。

 

少しややこしく思えるかもしれませんが、要は「年間110万円が非課税となる枠内で、3人に対して10年間、生前贈与を行った」ということですので、

● 70歳の時に7,500万円あった一徹さんの財産は、80歳の時点では4,200万円まで減っています。

 

先程は、ここに7年以内の贈与加算が行われましたが、

● 今回、一徹さんの法定相続人である一成さんや二郎さんは、年間110万円までの贈与が足し戻しの対象外となる『相続時精算課税制度』で贈与を受けていますし、

● 孫のみのりさんは、先程の例と同様に一徹さんの財産を1円も相続しません。

結果、今回は3人全員の過去の贈与が全て有効となる訳です。

 

その上で、

● 佐藤家の続人は2人で、

● 続税の基礎控除額は4,200万円(3,000万円+600万円×法定相続人2人)ありますので、

結果的に佐藤家は続税を1円も払うことなく、一徹さんの財産を相続することが出来という訳ですね。

 

ですので贈与者の財産額が8,000万円以下で、現在60歳~70歳の方、

つまり『続時精算課税制度』と『暦年贈与』を併用しながら、じっくりと確実に非課税枠内で贈与を行う時間があるという方は、

● 2023年中は法定相続人や法定相続人以外の孫などに『年贈与』を行って頂き、

2024年1月1日以降は、

● 法定相続人の方達への贈与は『年贈与』の足し戻しを回避するために、『続時精算課税制度』を選択、

● 法定相続人以外の方達への贈与は、き続き年間110万円までの贈与が非課税となる『暦年贈与』を選択して下さい。

 

ⅳ財産額が1億~2億で60歳~70歳の方

では次は、財産額が1億~2億で、贈与者の年齢が60歳~70歳の方について見て行きます。

まずは、こちらの赤井家を見て下さい。

 

赤井家の父親は年齢が70歳とまだまだ若く、所有している財産額が1億円を超えています。

その上で、赤井家の父親が次の3通りの方法で贈与を行った場合、最終的にどの方法が一番相続税がお得になるのかについて見て行きましょう。

● 2023年1月1日から、年110万円の『暦年贈与』を子供達2人と孫一人に対して行い、80歳の1月1日に亡くなった場合

● 年310万円の『暦年贈与』を子供達2人と孫一人に対して行い、80歳の1月1日に亡くなった場合

● 2024年1月以降から『相続時精算課税制度』を使い始めた場合

 

 

【毎年110万円の『暦年贈与』を行う場合】

まず赤井家の父親は

● 70歳の時から、年間110万円の贈与を子供達2人と孫1人に対して10年間、行っていますよね。

ですので、

● 70歳の時に1億5千万円あった父親の財産は、80歳の時点では1億1,700万円です。

 

そしてここに7年以内の贈与加算(年間110万円の暦年贈与×2人分×7年の合計1,540万円)が行われますが、

● 4年以上前の贈与分に関しては100万円控除×2人分の合計200万円を引けますので、

● 最終的な足し戻し額は1,340万円となります。

結果、赤井家の父親の相続税の対象となる財産額は1億3,040万円です。

 

そして、法定相続人が子供2人の場合、1億3,040万円に対する相続税は1,368万円となります。

 

 

では次に、毎年310万円の『暦年贈与』を行う場合について見て行きましょう。

 

【毎年310万円の『暦年贈与』を行う場合】

まず赤井家の父親は70歳の時から、

● 供達2人に対し年間310万円の贈与を10年間、

● 1人に対して110万円の『暦年贈与』を10年間、行ったとします。

そうしますと、70歳の時に1億5千万円あった父親の財産は、

● 80歳の時点では7,700万円です。(1億5千万円-7,300万円=7,700万円)

 

そしてここに7年以内の贈与加算(年間310万円の暦年贈与×2人分×7年=合計4,340万円)が行われますが、

● 4年以上前の贈与分に関しては100万円控除×2人分の合計200万円を引けますので、

● 最終的な足し戻し額は4,140万円となります。

結果、赤井家の父親の相続税の対象となる財産額は1億1,840万円です。

 

法定相続人が子供2人の場合、1億1,840万円に対する相続税は1,128万円となりますが、

 

し戻された過去7年分の贈与について、

● 既に贈与税を支払っている分は、その金額を相続税額から控除することが出来ます。

● 310万円の贈与に掛かる贈与税は20万円なので、

● 20万円×2人×7年分=280万円を赤井家の相続税額1,128万円から控除しますと、

果、赤井家全体で支払う相続税の合計額は848万円ということになります。

 

さらにその上で、110万円を超える贈与を受けた子供達は、これまで実際に400万円の贈与税を支払っていますので、

れらを合算した、赤井家全体の累積納税額は、相続税、贈与税を含めて1,248万円ということになります。

 

【毎年510万円の『暦年贈与』を行う場合】

ちなみに計算は省きますが、

子供達2人に510万円の贈与、孫1人に110万円の贈与を10年間行った場合の赤井家全体の累積納税額は、続税、与税を含めて1,188万円ということになります。

 

これまで紹介した各ケースを比較してみますと、

● 全員に対して110万円の暦年贈与を10年間行った場合の積納税額は、1,368万円

● 子供達2人に310万円の贈与、孫1人に110万円の贈与を10年間行った場合の累積納税額は、1,248万円

● 子供達2人に510万円の贈与、孫1人に110万円の贈与を10年間行った場合の累積納税額は、1,188万円

という結果になりました。

ではその上で、2024年1月以降から『相続時精算課税制度』を使った場合について見て行きましょう。

 

【『相続時精算課税制度』で贈与を行う場合】

まず前提として、赤井家の父親が70歳の時点(2023年中)ではまだ続時精算課税制度』に年間110万円の非課税枠が設けられておりませんので、

● 2023年中は子供たち2人と孫1人に対して110万円の『暦年贈与』を行い、

そして税制改正が行われた2024年1月1日以降は、

● 子供達2人に対し『続時精算課税制度』を使って、年間110万円の贈与を9年間実行、

● 孫1人に対してはき続き110万円の『暦年贈与』を行ったとします。

そうしますと、70歳の時に1億5千万円あった父親の財産は、80歳の時点では1億1,700万円です。

(1億5千万円ー3,300万円=1億1,700万円)

 

なぜ『相続時精算課税制度』を使って、子供達2人に行う贈与額が年間110万円なのかと言いますと、

 

● 2024年1月1日以降に『相続時精算課税制度』を使って年間110万円を超える贈与をしたとしても、

● 亡くなった方の財産にし戻さなくてもいい金額は110万円以下までとなり、

● 110万円を超える部分は足し戻しの対象となるからです。

つまり、110万円を超える部分の贈与というのは、相続税の節税には一切ならないんです。

 

ですので『相続時精算課税制度』を使って将来の相続税の節税対策を行う場合は、法定相続人達への贈与額は110万円までに抑える様に留意しておいて下さい。

 

では計算の続きに戻りまして、法定相続人が子供2人の場合、1億1,700万円に対する相続税は1,100万円となります。

 

その上で今回のパターンの場合、与税の支払いは1円も生じませんので、赤井家全体の積納税額は1,100万円となり、

 

先程比較したどのパターンよりも支払う税金が少なく済みました。

 

つまり、財産額が1億~2億の範囲内で、贈与者の年齢がまだ60歳~70歳と若い方であっても、2023年以降の贈与スタイルはこれまでと同様に、

● 2023年中は法定相続人や法定相続人以外の孫などに『年贈与』を行って頂き、

2024年1月1日以降は、

● 法定相続人の方達への贈与は『年贈与』の足し戻しを回避するために、『続時精算課税制度』を選択、

● 法定相続人以外の方達への贈与は、引き続き間110万円までの贈与が非課税となる『暦年贈与』を選択して頂くのが、一番節税効果が高いということですね。

 

ではこの章の最後のケース、財産額が2億以上で贈与者の年齢が60歳~70歳の場合について見て行きましょう。

 

ⅴ財産額が2億円以上で60歳~70歳の方

このケースについては、算式もこれまでと大きく変わりませんし、該当する人自体もかなり少ないと思いますので、果だけを見て行きます。

 

まず前提としては、鈴木家の母親は年齢が70歳とまだまだ若く、所有している財産額は3億円です。

その上で、

● 全員に対して110万円の暦年贈与を10年間行った場合の積納税額は、6,136万円、

● 供達2人に310万円の暦年贈与、孫1人に110万円の暦年贈与を10年間行った場合の累積納税額は、5,776万円、

● 供達2人に610万円の暦年贈与、孫1人に110万円の暦年贈与を10年間行った場合の累積納税額は、5,356万円、

● 供達2人に810万円の暦年贈与、孫1人に110万円の暦年贈与を10年間行った場合の累積納税額は、5,212万円

● 供達2人に110万円の相続時精算課税制度、孫1人に110万円の暦年贈与を10年間行った場合の累積納税額は5,600万円という結果になりました。

 

この結果を見て頂くと分かります様に、

● 産額が2億円以上で贈与者の年齢が60歳~70歳とまだまだお若い場合に関しては、

これまでのパターンとは違い、2023年中も2024年1月1日以降も、

● 法定相続人や法定相続人以外の区別なく、適正な『暦年贈与』を行って頂くと

最も節税効果が高くなるという訳ですね。

 

ですが先程もお話した通り、この例の様に60代の方で財産を2億円以上所有されているという方は稀ですので、

大部分の方においては、こちらの表の①~③の通りに贈与を行って頂ければと思います。

 

ではその上で、2024年1月1日以降において多くの方が利用を選択されるであろう『相続時精算課税制度』について、次の章ではもう一度制度の概要について復習した上で、『相続時精算課税制度』の始め方について見ていきたいと思います。

 

②相続時精算課税制度の始め方

ⅰ相続時精算課税制度の概要

さて、改めまして、この『相続時精算課税制度』というのは、

制度を利用する年の1月1日時点において、

60歳以上の祖父母や父母から、

18歳以上の子や孫に対して、生前贈与が行われた場合、

贈与者1人につき最大2,500万円まで、受取った金額が非課税となる制度です。(※2,500万円を超えた後の贈与に対しては、一律20%の贈与税が課税)

一見太っ腹に見えるこの制度ですが、
現行の取り扱いにおいては、相続時精算課税制度を使って贈与を行っても、
過去の贈与分というのは、相続が発生した際に全て相続財産に足し戻されることになりますので、まったく節税効果がありません
でした

 

ですが2024年1月1日以降は、相続時精算課税制度の利用を選択した上で贈与を行った場合、

年間110万円までの贈与部分に関しては、相続財産に足し戻す必要が無くなり、

更に年間110万円部分までは申告も不要にするという、素晴らしい改正が行われることになりました。

 

ちなみに現行の相続時精算課税制度の2500万円の非課税限度額というのは、1対1の贈与契約者ごとに設けられていますので、

このスライドの様に、

● 子供は、父親からも相続時精算課税制度によって贈与を受けることが可能ですし、

● 時に母親からも、相続時精算課税制度によって贈与を受けることが可能となります。

 

の取り扱いは2024年1月1日以降も残りますので、このスライドの長男は、

父親からの年間110万円までの贈与も、母親からの年間110万円の贈与も、来の相続財産に足し戻す必要も無く、年の申告も不要という訳ですね。

 

ⅱ相続時精算課税制度の始め方と開始時期

ではそんな相続時精算課税制度の手続き方法についてですが、

税制改正後の相続時精算課税制度の手続き方法については、まだハッキリとした内容が公表されておりませんので、行の手続き方法をベースに「恐らくこうなるであろう」という予想をお話していきます。

 

まず、「2024年1月1日以降に相続時精算課税制度を活用していきたい!」という場合、制度の申請自体は2024年中に行う必要はありません。

 

具体的にちらの親子で見て行きますと、

➀父親と長男の間で、「2024年4月1日に『相続時精算課税制度』を使って110万円の贈与を行う」という相互認識のもと、

②贈与契約書を作成した上で、

➂実際に110万円を贈与、

➃2024年中に贈与を受けた長男は、男の住所を管轄する税務署に対し、2025年2月1日から3月15日までの贈与税の申告期間中に、

● 与税の申告書と

● 続時精算課税選択届出書、

● そして、贈与を受けた長男が贈与者の子や孫であることを証明するための戸籍謄本、または戸籍抄本、これらを税務署に提出する。

この様な流れとなります。

 

ちなみにステップ②と➂で、父親と長男は贈与契約書を作成した上で、贈与を行っていますが、

与契約書の作成は必須ではありませんし、告の際に税務署に提出しなければならないという決まりもありません。

ですが贈与契約書というのは、いざ続が発生した際に、「あのとき贈与を貰っていた」という家族内における証拠書類にもなりますので、是非作成しておいて頂ければと思います。

 

さて、では本筋に戻り、『相続時精算課税制度の始め方』のテップ➃を見て下さい。

ステップ➃では、相続時精算課税制度の利用を始める為には、贈与税の申告書と相続時精算課税選択届出書を税務署に提出する、とお話しましたよね。

 

ですが、今回の税制改正により、続時精算課税制度を選択した上での年間110万円までの贈与は、年に贈与税の申告自体をする必要がなくなりました。

つまり、2024年1月1日以降に相続時精算課税制度を使って贈与を行う際は、

● 年間110万円を超える贈与が行われた場合に限り

● の金額について税務署に贈与税の申告を行う必要があるのであって、

 

「将来の相続税節税のために、年間110万円の枠内で相続時精算課税制度を使いたい!」という方におかれましては、

● 2024年中に110万円の贈与を行い、年2025年の2月1日から3月15日までの期間中に、『続時精算課税選択届出書』を税務署に提出する。

● そしてその際には与税の申告書の提出は不要、この様な取り扱いになると思われます。

 

この『相続時精算課税制度の始め方』や『必要な提出書類』については、まだハッキリとしていない部分も多々ありますので、詳細が明らかになり次第、追って記事で解説をしたいと思います。

 

ⅲ既に相続時精算課税制度の利用を行っている人の取り扱い

また、前回の記事への質問にて、

「私はもう既に2021年から相続時精算課税制度の利用を始めています。この場合、2024年1月1日以降の改正メリットは受けられないのでしょうか?」という質問を頂きました。

この点については安心して下さい。

 

2021年から相続時精算課税制度の利用をしていたとしても、2024年の1月1日以降に行われた贈与については、

● 110万円以下の贈与は来の足し戻しなし、

● 110万円以下の贈与は年の申告も不要となります。

 

ではその上で次の章では、相続時精算課税制度を利用する際の注意点について、一緒に見て行きましょう。

 

③相続時精算課税制度を利用する際の注意点

【注意点①:2023年中の贈与に関しては改正メリットを受けれらない】

先程、視聴者の方への回答で、

「2021年から相続時精算課税制度の利用をしていたとしても、2024年の1月1日以降に行われた贈与については、問題なく改正メリットを受けることが出来る」

とお話しましたが、

仮に、この視聴者の方が

● 2023年4月1日に110万円の贈与を受けた場合、

2024年1月1日の改正前なので、

● この110万円の贈与は贈与者が亡くなった際に額相続財産に足し戻されるため注意が必要です。

 

これはまだ制度の利用を開始されていない皆さんにとっても同様です。

● 2023年中というのは、まだ相続時精算課税制度の正メリットが適用される前ですので、

● 続時精算課税制度を使っての節税対策は、あくまでも2024年の1月1日以降から始めて頂ければと思います。

そして

● その際の届出書の提出は年2025年の2月1日から3月15日までの期間中に行う、

という部分もしっかりと覚えておいて下さい。

 

【注意点②:暦年贈与との併用が出来ない】

このほかにも、こちらの父親と長男

● 一度相続時精算課税制度を選択すると、

● この両者間では贈与者が亡くなるまで暦年贈与に切り替えることは出来なくなる。

という点や、

 

【注意点③:価値が変動する財産の贈与は損をする可能性あり】

● 不動産や株式といった価値が変動する財産を、年間110万円を超える金額で贈与した場合、

● 与を受けた人は将来的に損をする可能性があるという点、

 

【注意点④:自宅不動産の贈与は慎重に行う】

また、相続時精算課税制度を使って親の自宅不動産を生前に貰ってしまうと、

● くなった方が実際に住んでいた土地であれば、

●  一定の要件を満たす相続人が相続した場合、

●  その土地の330㎡までを80%引きの価格で相続できるという、『小規模宅地等の特例』を用することが出来ないという注意点もあります。

 

これらの注意点については、前投稿したこちらの記事で解説をしておりますので、気になるという方は、是非ご覧になってみて下さい。
 

では最後に、『皆さんの家庭が2023年中に行うべき駆け込み贈与の最適額』について、次の章で解説をして行きます。

 

④2023年中に行うべき駆け込み贈与の最適額

最初に結論ですが、

● 現在の贈与者の年齢が60代~70代前半の方で、財産額が8,000万円以下の場合でしたら、

● 2023年中に急いで高額な贈与を行う必要はありません。

 

といいますのも、故いまテレビや雑誌で「2023年中に急いで駆け込み贈与をしましょう!」といった話題が出ているのかと言いますと、

年間110万円までの贈与が非課税となる『暦年贈与』の『3年以内加算』が今年で終わり、2024年1月1日からは段階的に『4年以内加算』・『5年以内加算』・『7年以内加算』と贈与加算の期間が伸びていきます。

 

ですが、あくまでもこの加算期間の延長というのは、2024年1月1日から始まりますので、

● 2023年12月1日から毎年110万円の贈与を行っている方が、2027年の12月1日に贈与を行い、その日にくなったとしても、

● 贈与加算の対象となるのは、2024年12月1日、25年12月1日、26年12月1日、27年12月1日の4年分となり、税制改正の内容が反映される2024年1月1日より以前の贈与、つまり2023年12月1日分の贈与は足し戻し対象外となるんですね。

 

これは2024年1月1日以降から『相続時精算課税制度』での贈与に切り替えた場合も同様です。

● 2023年の12月1日に暦年贈与で110万円の贈与を行い、

● 2024年1月1日以降は『相続時精算課税制度』を使い110万円を毎年12月1日に贈与、

● 2027年の12月1日に贈与を行い、その日にくなったとしても、

制改正の内容が反映される2024年1月1日より以前の贈与、つまり2023年12月1日分の暦年贈与は足し戻し対象外となります。

 

そのため、

「贈与者が2027年以降に亡くなられた場合、2023年中の贈与の節税効果は丸々有効になるから、駆け込み贈与を急ぎましょう!」

と、こういう話になっている訳です。

 

さてこう聞きますと、「分の家も今年中に高額な贈与をしなくちゃ損だ!」と多くの方が感じられるでしょうが、ちょっと待ってください。

 

この記事の第1章でも見て頂いた通り、

● 現在の贈与者の年齢が60代~70代前半の方で、

● 財産額が8,000万円以下の場合でしたら、2023年中に急いで高額な贈与を行い、余分な贈与税を納める必要はありません。

 

何故なら先程も見て頂いた通り、

● 2023年中は法定相続人や法定相続人以外の孫などに『110万円の暦年贈与』を行って頂き、

2024年1月1日以降は、

● 定相続人の方達への贈与は『年贈与』の足し戻しを回避するために、『相続時精算課税制度』を選択して年間110万円を贈与、

● 法定相続人以外の方達への贈与は、き続き年間110万円までの贈与が非課税となる『暦年贈与』を選択して頂く、

この方法を取って頂ければ、実に将来の相続税を減らすことが可能だからです。

 

ですがその一方で、

● 現在贈与者の年齢が男性で75歳以上、女性で80歳以上という方や、

● 産額が1億円以上あるという方の最適な駆け込み贈与額については、

その方の族構成や、養子がいる・いない、婚・再婚歴があるかや、金融資産と不動産のバランス、

ういった要素によって、それぞれの家庭における「本当に最適な贈与額」というのは変わってきます。

 

ですので、現在贈与者の年齢が男性75歳以上、女性80歳以上という方や、財産額が1億円以上あるという方で「2023年中の最適な駆け込み贈与額を知りたい!」という方は、続専門の税理士に相談の上で、最適な金額を決定して頂ければと思います。

この記事を書いている人 - WRITER -
秋山 清成
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