相続税が掛からなくても、相続税申告書を提出しておくべき3つの理由
相続税が掛かるか掛からないかのポイントは、
・亡くなられた方の財産総額から
・債務や葬式費用を差し引いた金額が
・相続税の基礎控除額を超すか超さないかで考えます
上記の考えのもと財産の内容を洗い出し、相続税の試算を行った結果、
今回の相続において〝あなたには相続税が掛からなかった〟
当然相続税が掛からなかったわけなので、
☑あなたは税金を納める必要はありませんし
☑相続税の申告書を税務署に提出する義務もありません。
これだけ聞くと「良かった良かった」とそこで終わりたくなりますが、
ちょっと待って下さい!
確かに相続税が掛からなかった場合には、税金を納める必要は全く無いのですが、
相続税の申告については、キチンと正式な申告書を作成し税務署に提出をしておくべきなのです!
今回の記事では、そんな
『相続税が掛からなくても、相続税の申告書を作成・提出しておいた方が良い理由』
を説明していきたいと思います。
①被相続人の追加財産が判明した場合のリスクヘッジになる
相続というものは自分以外の人の財産を把握し、税額の計算をしなければなりませんから、
財産の把握に漏れが生じることがあります。
ですので、『今回はギリギリ相続税が掛からなかった』という時でも、
その数か月後や1年後などに追加の財産が判明し相続税が発生した場合、
期限内に相続税の申告書を提出していなければ、税務署から『無申告加算税』というペナルティが課せられてしまいます。
ですので、後日判明した被相続人の財産により『相続税を払わなくてはいけなくなった』という場合に備えて、
相続税が掛からなくても、相続発生から10か月の期限内に相続税の申告書を税務署に提出しておくことは大切なことなのです。
②家族間で正確な財産と財産の行方を確認できる
被相続人(亡くなった方)の財産を試算した結果、相続税が掛からなかったとしても、
➡資産・負債の正式な額や
➡誰が被相続人の財産を相続したのか
などの情報がまとめられた申告書を作成し、税務署に提出しておくことで、
正式な財産の記録として、親や兄妹と情報を共有しておくことが出来ます。
これにより家族の全員が相続で受け取った財産の内容を把握出来る訳ですから、
後々〝誰が財産を貰った・貰っていない〟という言い争い等が起こる可能性を回避することが出来ます。
③将来、相続により自身の財産が増えたことの証明になる
今回の相続の結果、自身の財産額が増加したとしても、
・それを正式な申告書として作成・提出していなければ
・それが本当に相続によって増加したお金なのかが
対外的(税務署)に証明することは難しくなります。
具体的に説明しますと、
➡上の図で幸子さんは、お父さんの相続により現金2,000万円を取得しています。
➡その後、幸子さんの夫である福男さん(資産家)が亡くなり、相続税の申告をした1年後に税務調査が行われました。
この時税務調査官はこう思います。
「あれ、幸子さんは確か主婦のはずなのに何でこんなに預金があるんだろう?」
そして当然、税務調査の際に幸子さんに上記の質問が飛んでくる訳です。
この時に前回、幸子さんのお父さんから相続を受けたという証拠となる『相続税の申告書』が手元にあれば、
☑税務調査官の疑問もその場で晴れ、
☑あらぬ疑いを持たれず余分な調査を受ける必要も無くなるのです。
以上のことから残された家族の方々は、例え発生した相続に対し相続税が掛からなかったとしても、
相続発生から10か月の期限内に相続税の申告書を作成し、税務署に提出しておくことをオススメします!
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