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贈与税の時効期間は6年!しかし現金・預金の贈与は時効が殆ど成立しません!

 
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秋山 清成
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贈与税の時効というのは『贈与税の申告期限から6年、悪質な場合は7年』で時効を迎えます。

 

つまり、現在の日本においては、

たとえ贈与税の申告・納税の義務があっても、

この時効の条件を満たせば、贈与税の申告も納税も行う必要がなくなるんですね。

どうでしょう、こう聞いて

「じゃあ今年、両親から贈与を受けて、その贈与税を来年の申告期限までに払わなかったとしても、贈与税の申告期限から6年、もしくは7年間バレなければ、税金は1円も納めなくてもいいんだ」

と、こう思われる方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、 贈与税の時効を成立させるのは、そう簡単な話ではないのです。

 

 

実は『現預金の贈与』に関しては贈与税の時効がほとんど成立しないんです。

そこで今回の記事では

1⃣ 贈与税が課税される基準や、申告期限についてあらためておさらい

2⃣ 贈与税の時効期間や成立要件の正確な測り方について

3⃣ 現金預金に関する贈与は、なぜ時効が成立しづらいのかその理由

4⃣ 不動産に関する贈与の時効が認められる理由

5⃣ 視聴者の方から頂いた贈与税の時効に関する質問と回答

という五つのテーマについてお話していきます。

 

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記事を読みたい方は、このまま下に読み進めて下さい。

 

①贈与税が課税される基準や申告期限

まず、『贈与税が課税される基準』や『申告期限』についておさらいをしていきましょう。

【贈与税がかかる・かからないの基準】

1月1日~12月31日までの1年間に受けた贈与の合計額が、

贈与税の基礎控除である110万円を超えるか超えないかで判断

 

注意点としましては、1年のうちに

父から110万円をもらい、母からも110万円をもらった場合、

1年間に贈与を受けた合計が220万円になってしまいます。

 

この場合、

贈与を受けた人は基礎控除額110万円を超えてしまいますから、

贈与税の申告と納税が必要になります。

 

● 住宅取得資金の贈与などの贈与の特例を使えば、非課税枠を110万円以上に広げることができますが、

特例を使う場合、贈与を受けた人は

贈与税がかかる・かからないにかかわらず、

特例を使う旨を贈与税の申告書に記入し、

税務署に提出しなければいけません。

 

では「贈与税の申告や納税は、いつまでに行わないといけないのか?」と言いますと、

贈与を受けた年の、翌年2月1日から3月15日の間に、

贈与を受けた人の住所地を管轄している税務署に、申告書や各種必要書類を提出し、納税を行う必要があります。

例えば令和2年に贈与を受けた場合、

令和3年の2月1日から3月15日の間に申告と納税が必要

ということですね。

 

 

②贈与税の時効期間や成立要件の正確な測り方

さてこのように、贈与税の申告と納税には『期限』があるわけですが、

贈与を受けた方の中には、

贈与税を払いたくないから、わざと申告と納税を行わない人や、

贈与に関する知識不足から、結果的に無申告になってしまう人が

それなりにいらっしゃいます。

 

冒頭でも言いましたように、贈与税の時効というのは『贈与税の申告期限から6年、悪質な場合は7年』で時効を迎えます。

つまり、

平成26年2月1日に200万円の贈与を受けた場合、

申告期限は贈与の翌年の平成27年3月15日です。

ここから6年ですから、

令和3年3月15日に時効を迎えるわけです。

贈与を行った日から数えますと、7年と1か月と15日後に時効を迎えるということですね。

 

たまに、「贈与を受けた日から6年」と勘違いをされている方がいらっしゃいますけど、

この図でも分かりますように『贈与税の申告期限から6年』ですから気をつけてください。

 

また、「意図的に申告をしなかった」など、

● 悪意がある場合は、時効まで7年かかりますのでこちらも注意が必要です。

 

③現金・預金に関する贈与はなぜ時効が成立しづらいのか

そしてここからが今回の記事の本題です。

「贈与税の申告期限から6年、悪質な場合7年が過ぎれば自動的に贈与税の時効は成立するんだ」と思われている方もいらっしゃいますが、

実は時効が成立するには、先ほど説明した期間以外にも『ポイント』があるんです。

 

この『ポイント』こそが、贈与税の時効の成立を難しくしていまして・・・・・・

 

ではその『ポイント』とは何かと言いますと、それは、

税務署が贈与が行われたことをすぐに把握できたという上で、

その贈与が行われたことを見落としたかどうか、

ということです。

 

このポイントがあるために、

『現預金の贈与』については、時効が成立しづらく、

逆に『不動産の贈与』では時効が成立することもあるんです。

どういうことか詳しく見ていきましょう。

 

まず、現預金の贈与に関しての時効が成立しづらい理由ですが、これは以前、こちらの記事で解説した、

「税務署は通常、現預金に関する贈与について調査をしていない」ということと関係があります。

 

まず、

『預金の持ち主が誰なのか』というところは、不動産のように、第三者に対して公表されていません。

そして家族間での現金の移動があった場合、銀行は逐一税務署に通報するようにという規定もありません。

さらに、

預金口座は全国に何億口座もありますから、その中から『110万円を超える預金の移動があったかどうか』を、税務署がいちいち把握するのは到底できることではありません。

つまり、贈与した人や贈与を受けた人が、誰にも言わずに黙っていたら、税務署や他の第三者は、贈与が行われたことを知らないままなんですね。

 

しかし、黙っているだけで時効が成立して、贈与税を払わなくても良くなるのでしたら、

親は自分の財産を相続税の基礎控除以下に減らすために、子供や孫にお金をどんどん渡して、

子供や孫はじっと時効を待てば、

税務署は子供や孫に贈与税も相続税もかけることができない、という事になってしまいますから、

こんなことを税務署が許すはずはありません。

 

ですから税務署は、『贈与者が亡くなった時』に『亡くなった方やその家族の間の贈与』について調査を行うのです。

 

では税務署は【6年以上前に行われた110万円を超える現預金の贈与が無申告だった場合】

どのように課税するんでしょうか。

 

例えば、次のようなケースがあったとします。

父親から息子に預金を500万円贈与

息子は贈与税の申告を行わず

贈与税の申告期限から8年後に父親が死亡

そしてその相続税の調査時に、税務署が過去の贈与を把握

 

この一連の流れを見た多くの方が、

「この贈与は8年前に行われているものなんだから、たとえ悪質であったとしても、完全に贈与税の時効が成立してるんじゃない」

と思われるかもしれませんが、そうではないんですね。

 

この時税務署はこのように考えます。

「父親から息子に500万円の資金移動があったのに、息子は贈与税の申告をしていないということは、

このお金は父親から息子への贈与ではなく、息子が父親からお金を預かっただけ。

そして預かったお金は10年経とうが20年経とうがお金を預けた人のものですから、

この500万円は、亡くなった親の財産として計上してください」

とこのように税務署が言ってきます。

 

この場合、息子がすでにお金を使ってしまっていたとしても、

税務署は「息子が勝手にあずかり金を使った」という考え方をしますから、

たとえお金を使い切っていたとしても、預かり金500万円として相続財産に計上することになります。

税務署は「時効云々を主張するのであれば、贈与税の申告と納税などの義務を果たしてから言うことを言ってください」、というスタンスなんです。

 

このように税務署と言いますのは、

贈与者が存命のうちは現預金の贈与に関しては調査をしていませんが、

贈与者が亡くなった時に、亡くなった人やその家族の過去のお金の流れを詳しく調べます。

 

この時に無申告の贈与が発覚するわけですが、

 

【調査時において既に贈与から7年以上が経っていた場合】

税務署は「過去に行われた贈与は成立していない」と主張して、

贈与が行われた財産に対して『相続税』を課税します。

 

 

逆に、

【調査時において贈与から7年が経っていない場合】

贈与税の無申告を指摘し、

『贈与税』とペナルティとして『無申告加算税』と『延滞税』を課税するんです。

 

ですから、『現預金の贈与の時効』は存在しないのも同然なんですね。

 

④逆に不動産に関する贈与の時効が認められる理由

ところが、『現預金』とは異なり『不動産に関する贈与』では、時効が認められる場合があります。

これはなぜなのか。

 

まず、【現金や預金の贈与】と【不動産に関する贈与】の違いについてお話ししましょう。

 

【現金や預金の贈与の場合】

現金や預金の贈与は、

贈与した人・受けた人からも自発的な発言がない限り、

第三者は贈与があったことを知ることはできませんよね。

税務署に関しましても、

将来贈与者が亡くなった時に初めて、現預金の贈与に関しての調査をし、

そこで初めて贈与があったことを知るんです。

 

しかし不動産の場合は話が違います。

 

【不動産に関する贈与の場合】

不動産の贈与を受けた場合、

登記を行わないとその不動産を『自分のものだと証明』する事ができませんから、

不動産の贈与を受ければ、皆さん登記を行います。

法務局に登記申請をして贈与登記されますと、法務局が『この不動産は誰のものであるか』を台帳に記載するんですね。

そしてその不動産登記簿は、

誰もが見れるようになっていますし、

交付申請をすれば誰の土地・家であっても、登記事項証明書を発行してくれます。

 

また税務署では、年に2回ほど法務局から登記の情報を収集しておりますので、

『新たに不動産登記を行った人が誰なのか』が丸わかりなんですね。

 

税務調査官が登記情報を入手しますと、

『不動産自体の贈与』を受けたのか『不動産の購入費用の贈与』を受けたのか

それとも『自力で購入した』のか

こういった事を調べるんです。

 

そして贈与の事実を掴むことができれば、「贈与税の申告期限前に贈与税の申告をしてください」と通知を送ります。

 

ですから、

不動産に関する贈与を受けて、

贈与税の申告と納税をしていない場合、

この記事でも解説しましたが、すぐに税務署に補足される事になるんです。

 

しかしここで、

税務署が無申告を指摘することなく、

贈与税の申告期限から6年、悪質な場合7年が経過しますと、

時効が成立することになるんです。

 

ようは、

● 税務署は贈与があったことを把握できたのに、

職務怠慢により課税を見逃してしまった場合でしたら、

結果として贈与税の時効は成立するんですね。

 

 

⑤視聴者の方から頂いた贈与税の時効に関する質問と回答

ではここで一つ、視聴者の方から頂いた質問を、実際に贈与の時効が成立している実例として見ていきます。

質問の内容

「私たち夫婦は、20年ほど前に新築マンションを購入しました。

その時は、両者共働きで登記の際の持分は、それぞれ二分の一にしました。

その上で、ローンの返済は夫が単独で支払ってきました。

この行為が贈与になると知り、ビックリして不安に思っています。

ローンは一度借り換えていて、2005年から2030年まで払います。

毎月の返済金額は77000円くらいで、ずっと同じ金額です。

私はマンション購入の数年後に子供が生まれ、それから10年以上専業主婦です。

どちらが先かはわかりませんが、夫が先に亡くなった場合、現金がなかったとしても贈与税がかかるということですか?回避策はありますか?」

という内容です。

 

このケースについて、具体的な数字を使ってみていきましょう。

 

マンションの購入価格が3,000万円だったとして、

旦那さんが頭金500万円を出し、

残りの2,500万円についても、全額旦那さんがローンを組んでいるとします。

お金を出したのは全て旦那さんですから

『本来ならマンションは100%旦那さんのもの』です。

しかし、

二分の一を奥さん名義に登記をした時点で、

1,500万円分の贈与が行われたことになるんですね。

 

そして先ほども言いましたように

税務署は年に2回、法務局から登記情報を取り寄せているので、

約20年前・・・相談者さん夫婦がマンションを購入し、共有名義で登記を行った年にも、同じように登記情報を取り寄せていたはずです。

そして

贈与税の申告期限までに、奥さんは贈与税の申告と納税を行わなかったのですから、

その時点で税務署は指導、もしくは贈与税の徴収をしなくてはいけませんでした。

しかし課税が行われることなく、

贈与税の時効である6年、悪質な場合7年が過ぎましたので、

質問者さんのケースでは贈与税の時効が成立したことになります。

 

なので、

将来旦那さんが先に亡くなり、税務調査が行われたとしても、

「20年前に購入したマンションは旦那さんから奥さんへの贈与です、奥さんは贈与税を払って下さい」

といったことを税務調査官から言われることはありません。

 

奥さんが贈与を受けた『不動産の持分:1,500万円分』は

税務署が登記情報を入手していたにも関わらず、課税を行わなかったのですから、

正式に時効が成立しています。

 

このように贈与税の時効については、『不動産』と『現預金』の贈与で大きな違いがあるわけです。

 

他にも視聴者の方から、贈与税の時効に関する質問を頂いておりますので、私からの回答と合わせて解説をしていきます。

 

質問の内容

「親の資産を息子の名前で預金をしていた場合、親が息子に資産を全て渡してから6年以上生きていれば、贈与税は時効となり、かからないのでしょうか?」

というものです。

 

まず、『名義預金』について軽くおさらいをしますと、

『預金口座の名義人』と『実際に預金をしている人』が異なる預金で、

『贈与した人』が贈与を受けた人の預金通帳や、カード・印鑑を管理していて

『贈与を受けた人』が自由にお金を使えないのに、

『贈与をした人』はあげたはずのお金を自由に使える状態の預金のことを、

他の人の名義を使った預金、つまり、『名義預金』と言います。

 

ではこの質問者の方の預金は、果たして贈与を行った翌年の申告期限から6年経てば時効は成立するのでしょうか・・・

 

ここまでの流れを見てきた皆さんであれば、もうこの質問が時効として成立するかどうかが分かりますよね。

 

 

そうです、時効は成立しません。

 

といいますか、

名義預金に関しては『贈与が成立していない』のですから、

『贈与税の時効が当てはまらない』のです。

 

贈与というのは、

「お金をあげます」「もらいます」というような『お互いの合意』のもとで行う契約ですが、

名義預金にはこの『合意』が存在しないんです。

親側はあげた認識がありますが、子供側はもらった認識がないので贈与は成立していません。

 

贈与が成立していなければ、

親が「子供に贈与した」と一方的に思い込んでいるだけで、

実際は親の財産のままです。

簡単に言えば、

親が贈与をしたのではなく『贈与したつもりになっている預金』なんです。

贈与をしていないお金に対して、贈与税の時効が成立するはずもありませんよね。

 

結果、

親が亡くなった時に、

名義預金は親の財産として相続財産に計上することになります。

 

これは

『株式の名義上の所有者』と『実際に株式を所有している人』が異なる

『名義株』に関しても同じですので注意が必要です。

 

 

まとめ

では今回の記事のまとめです。

 

贈与税の時効は『贈与税の申告期限から6年、悪質な場合は7年』で時効を迎えますが、

『現預金の贈与』と『不動産の贈与』では時効の考え方が異なります。

 

【現預金の贈与の調査】

贈与者が亡くなってから調査を行います。

そこで税務署が過去に行われた無申告の贈与を把握した場合、

調査が行われた時点が『贈与から7年以内』でしたら、

贈与税とペナルティーとして、無申告加算税・延滞税を課税し

 

調査が行われた時点が『贈与から7年以上経過』していたら、

過去の贈与を否定して、

「亡くなった方の財産」だとして相続税の課税対象にするんですね。

 

ですので、『現預金の贈与』に関しては、時効が成立することはほぼありません。

 

しかし『不動産』に関しては時効が成立する場合もあります。

 

【不動産の贈与の調査】

税務署は年2回、法務局から登記情報を取り寄せます。

不動産に関する贈与があれば、この登記情報をきっかけに、贈与の事実をつかむことができるのですが、

ここで税務署側が見落としてしまえば、

結果的に贈与の時効が成立するということなんですね。

 

このように

● 税務署が、贈与が行われたことをすぐに把握できたという上で、

● その贈与が行われたことを見落とした、

● その上で7年以上が経過すれば、贈与の時効が成立するということです。

 

しかし以前投稿した、この二つの記事でも説明しました通り、

意図的に贈与税の時効を狙うというのは、非常に難しいんです。

 

それに

いつ税務調査官がやってくるのか、と何年もビクビクして生きていかなければいけませんし、

バレた時のペナルティももちろん課されますので、

贈与を受けた人は

ヘタに時効を狙うなんてせずに、

きちんと贈与税の申告と納税を行っていただければと思います。

 

 

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