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【国税OBが語る】タンス預金の潔白は自分で証明するの?税務署側が証明するの?

 
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秋山 清成
相続のご相談なら、秋山税理士事務所へ。国税局・税務署で40年以上相続を取り扱ってきた税理士が、相続対策や節税方法、相続税申告、贈与税についてのご相談など親切丁寧にサポートいたします。SRS(相続リモートサービス)にて全国のお客様に対応しております。どうぞお気軽にご相談ください。

以前、「国税OBがタンス預金をオススメしない5つの理由」という動画で、タンス預金というのはこのスライドのように、一度タンス預金で高額なお金を保管してしまうと、そのお金を自由に使えなくなる、や、将来の税務調査時にタンス預金での税金逃れが発覚すると重いペナルティーがある、内外を通してセキュリティ面に問題があるなどの、様々なデメリットがあるというお話をしました。

5つの項目

この動画は、多くの方から

「タンス預金のデメリットが改めて分かりました」と言ったメッセージや、

「今後タンス預金には気をつけます」といったお声を頂いておりますが、その一方で

「私の家は、現在タンス預金をしている状況です。脱税等はしていませんが将来税務調査で疑われるんでしょうか?」といった内容の質問や、

「今ため込んでいるタンス預金が、やましいお金か、クリーンなお金かの証明責任は、納税者側にあるのでしょうか?」といった相談メールもたくさんいただきました。

そこで今回の動画は、まず初めにタンス預金をすることで起こるデメリットについて軽くおさらいをし、その上で前回のタンス預金の動画に対して頂いた質問について、税務署側にタンス預金の真偽に対する証明責任があるパターンと、納税者側にタンス預金の真偽に対する証明責任があるパターンの、二つのケースについて、元税務調査官目線から回答をしていきたいと思います。

タンス預金をすることで起こるデメリット

まず初めに、タンス預金をすることで起こるデメリットについてのおさらいですが、今回の動画では、このスライドの五つの項目のうち、前回相談の多かった1番についておさらいをしていきます。

5つの項目

他のデメリット部分について忘れてしまったという方や、まだ見ていないという方はぜひ前回の動画をご覧になってみてください。

では本題に戻りまして、タンス預金をすることで起こるデメリットの一つ、一度タンス預金で高額なお金を保管してしまうと、そのお金を自由に使えなくなる、というところをおさらいしていきましょう。

例えば、A子さんという人が、親のタンス預金から毎年贈与税の基礎控除内の金額で贈与を受けて、A子さんはそのお金を自分のタンス預金にしていた、としましょう。

その贈与が5年間続き、合計550万円のお金がA子さんの手元にたまったとします。

そのお金を元手にA子さんは不動産を購入し、不動産登記を行いました。

親から子へ

そうしますと税務署は、この動画「【国税OBが語る】贈与なんて黙っていたらバレないは間違いです!5つのルートから税務署は贈与を掴みます」 でもお話ししてるように、A子さんが不動産を購入したという情報を法務局から手に入れますので、そこでA子さんは不動産購入の実態が掴まれ、税務署からお買いになった資産の買入価格などについてのお尋ね、という文書が送られてくるんですね。

お尋ねの内容

このお尋ねの内容としては、あなたの年齢・職業・所得や住宅等の買入価格、登記費用・仲介手数料、そして支払い金額の調達方法などが尋ねられており、不動産を所得した人は、この各項目記入して税務署に提出するわけですが、A子さんは④の支払金額の調達方法として、親からの暦年贈与5年分から支払った、と書き税務署に提出しました。

一見、A子さんの行動は何も問題ありませんよね。

毎年110万円以内の贈与は、法律で非課税となっていますし、そこから不動産の購入資金を捻出することも何も問題はないように見えます。

ですがこの場合、何も問題がないとわかっているのは、A子さん本人だけなんです。

A子さんからの返信が書かれた書類を見た税務調査官は、5年間で550万円の贈与を受け、そのお金で払ったと書いてあるけど、本当は一括で親からお金をもらっていたのに、贈与税の申告と納税をしていなかったんじゃないのか、と疑いA子さんを追求するんですね。

疑われる

A子さんはお家のタンス預金から毎年贈与を受け、それを自分のタンス預金として保管していたものですから、調査官に対して、贈与税の基礎控除110万円の範囲内でもらったお金が貯まったものです、と言ったところでそのことを証明することができないんです。

タンスからタンス

税務署は、誰かがある程度大きなお金を使って高級車や不動産を買ったり、住宅ローンを返済したり、保険の一括払いの契約をしたりといった行動をとると、その情報を把握した上でお金の出所を調べます。

情報が筒抜け

その結果、親からもらったタンス預金でお金で大きな買い物をした人は、そのお金の出所が不透明であることから、税務署から贈与税の無申告を疑われてしまうんです。

結果、税務署に贈与税をかけられた場合、110万円ずつもらったという証明ができませんから、その冤罪を晴らせない、つまり贈与税を払うはめになるということですね。

ですので、現金を銀行口座ではなくタンス預金で貯めておられる方は、こういったお金の不透明性や、現金の蓄財の過程を、きちんと税務調査官に証明できない、このような後ろめたさも相まって、タンス預金で貯めたお金で大きな買い物をするという選択肢が取りづらくなるんですね。

税務署側に真偽の証明責任があるパターン

ではここからは、今おさらいをしたタンス預金をすると税務署から疑いの目を向けられる、という部分に対していただいた視聴者の方からの質問について、そのタンス預金がやましいお金で貯めたものなのか、クリーンなお金で貯めたものなのかは、一体誰に証明責任があるのかについて、元税務調査官としての目線からお答えしていきたいと思います。

ではまずはタンス預金の真偽について、税務署側に証明責任があるパターンを紹介します。

前回の動画に対して、このような質問をいただきました。

「私の母はかなりの金額をタンス預金にしているみたいです。このタンス預金は、母が50年近く働いたお金から貯蓄したものであって、決してやましいお金ではない。」

とのことです。

収入からタンス預金

ですが、

「できるだけトラブルにならないように、今から母と相談して適切な方法に置き換えたいと思っていますが、どうするのが一番よいかわかりません。やましいことがない場合でも税務署から疑われたら、納税者側が自身の身の潔白を証明しなければいけないのでしょうか。」

といったものです。

このケースのように、自分の収入からタンス預金を行った場合でしたら、質問者さんのお母さんのタンス預金が、もしも税務署からやましいお金だと疑われたとしても、タンス預金の実態を調査して、真偽の証拠を突き付ける必要があるのは、税務署側となります。

ですので納税者側の発言が嘘でなければ、税務調査官がどれだけ調べたとしても、このお金は本当に50年近く働いた中で税金もしっかりと収め、その上でため込んだ預金だ、という真実しか出て来ませんから、結果何も問題がなかったということになるんです。

証明できた

実は、前回の動画でも、この部分については最初は動画内に組み込んでいたんですが、私はあえて公開前にこの文言を削りました。

と言いますのは、もしも私が動画で

「タンス預金で貯めた高額なお金が、やましいお金でないのなら、それがやましいお金か・クリーンなお金かの証明は、税務署側が行います。ですから皆さんには、その証明責任は全くありません。」

と言ってしまえば

「そっか。将来疑われたとしても、真実を証明するのは税務署側なんだから、私は何もしなくていいんだ。じゃあこのままタンス預金を問題なく続けよう。」

と皆さんが楽観的に思ってしまうんじゃないかと心配になり、あえてタンス預金の証明責任は税務署側にあるという部分を削りました。

確かに、皆さんの家庭内のタンス預金が、本人の収入から形成されたものであるなら、そのお金がクリーンなものか・やましいものかという証明責任は税務署側にあります。

調査官が証明する

ですが、税務調査官の証明が終わるまでの間、皆さんはずっと調査官に疑われ続け、マークされ続けるわけですし、当然複数回にわたるヒアリングも受けることになります。

ヒアリングなどは大変

なぜなら現職時代の私もそうでしたが、税務調査官は職業柄、タンス預金は明るみに出せないやましいお金と受け止めているからです。

皆さんからしたら、きちんと自分で稼いで所得税の納税も済ませたお金を、タンス預金として蓄えているんだから、何も悪いことをしていないじゃないか。

最初っから疑われるなんて心外だ、と思われるでしょう。

ですがそれは、この動画を見てくださっている皆さんが申告や納税をきちんと行う正直な方々だからなんですね。

そういったみなさんが、疑われるなんて心外だと思われる気持ちはよくわかります。

ですが調査官というのは仕事上、タンス預金を脱税目的として使っている人たちをたくさん見てきているんです。

そういった方達との、化かしあいと言いますか、イタチごっこと言いますか、日々そういった環境の中で仕事をしているんですね。

アメリカの警察官が、職務質問中の人が懐に手を入れたら、銃を出してくると反射的に疑ってしまうのと同じで、税務調査官も職業柄、タンス預金=やましいお金、というのが頭に刷り込まれているんです。

ですので、高額なタンス預金をされている方は、たとえそのお金がどんなにクリーンなお金であっても、将来税務調査に入られる可能性は高いですし、一度調査に入られたら自身の潔白が晴れるまで調査が続きます。

ものすごく鬱陶しいですよね。

自分は悪くないのにいつまでも痛くもない腹を探られる。

当然調査の矛先は、あなたが口座を作っている銀行にも及びますから、あなたの取引銀行からも税務調査官から調べを受けているなんて、あの人は何か悪いことをしたのかな?と勘違いされるかもしれません。

疑われる

タンス預金をしただけで疑われるなんてそんなの理不尽だ、と思われるかもしれませんが、アメリカで職務質問をされた時には懐に手を入れてはいけないように、日本においてはどれだけクリーンなお金であっても、できるだけタンス預金は避けた方が無難なんですね。

スライド

前回の動画で、紛失や盗難などの税金面以外でのリスクも挙げたように、私のこれまでの経験上、将来税務署と戦う覚悟をしてまで、清廉潔白なお金をわざとタンス預金にするメリットは決して多くありません。

むしろほとんどないといってもいいです。

他に恐れなければいけないこと

税務署が、あなたのタンス預金を調べ尽くし、その上で最終的に下した判断に納得がいかないのであれば、不服審判所で引き続き戦うこともできますし、最終的には裁判を起こしてとことん戦うこともできます。

ですが、自分は悪くないのに疑われることは避けられない。

こんな事に時間と労力を使いたくはないですよね。

なので、私のお客さんには、将来余計な税務調査を招かないように、やましくないお金は第三者からも把握できるようにしておきましょう、と指導をさせて頂いております。

また先ほどの、自分の収入でタンス預金を作っていた場合と同様に、税務署側に真偽の証明責任があるパターンとしては、親族間の贈与をどちらか一方が銀行口座を使って行なっていた場合です。

記録を残す

例えば、親が自身のタンス預金から、娘に対して年間110万円の贈与を手渡しで行い、娘はその110万円のお金を、贈与を受けた都度、自身の口座に入金していた場合や、親が自身の預金口座から、娘の口座に対して年間110万円の贈与を行い、娘はその110万円のお金を口座から引き出し、タンス預金としていた場合など、このように贈与を行った側・贈与を受けた側の、どちらか一方でも贈与が行われた際に、預金口座に証拠を残していれば、このタンス預金からの贈与や、タンス預金への贈与はやましいものではない、という親子の主張を、税務署側が信じられない、と言うのであれば証明責任は税務署にあるわけです。

データが残っていれば大丈夫

その結果税務署は、この親子の銀行口座を調べることになりますが、どんなに調べても預金口座に残っている真実しか出てこないわけですから、結果として、贈与税を課税されることはありません。

贈与税は加算されない

納税者側に真偽の証明責任があるパターン

さて先ほどの質問は、タンス預金をしていた側には証明書記入はなく、税務署側にタンス預金がクリーンなお金か・やましいお金かの証明責任がある、というケースでした。

ですがタンス預金というのは、全てのケースにおいて税務署側に証明責任があるわけではありません。

逆にタンス預金をしていた側が自身の潔白を証明しなければいけない、というケースもあるんですね。

具体的に言えば

・贈与した側
・贈与を受けた側
・双方がタンス預金を用いた家族間の贈与

これに関しては、納税者が自身の潔白を証明することになります。

どういうことか、前回の動画にいただいた質問を例に解説していきます。

質問の内容は、親のタンス預金から毎年110万円の贈与を受けており、娘である私も受け取った110万円をタンス預金として蓄えております。

そのお金がすでに数千万円貯まっております。

証明できない

動画の内容に照らし合わせれば、将来税務調査を受けた際、こちら側に取引のデータがないため、年間110万円ずつの現金を、親から贈与でもらったという証明ができません。

ですが、逆に私が一括で数千万円ものお金の贈与を受けた、という証明も出来ないと思うのですが、やましいことがない場合でも、私自身が身の潔白を証明しなければいけないんでしょうか。

といった内容の質問でした。

残念ながらこのケースのような、

・贈与をした側
・贈与を受けた側
・双方がタンス預金を用いた家族間の贈与

というものは、納税者側が自身の潔白を証明しなければいけません。

なぜなら、もしも仮に、両方ともがタンス預金を使った親族間の贈与を、税務署が容認してしまったら、親から一千万円のお金の贈与を一括で受けて、贈与税の申告・納税を行わなかったとしても、将来調査の際にこのタンス預金の一千万円は、過去10年間に母親から110万円ずつもらったものです。

と言えば、すべて承認されてスルーされてしまいます。

スルーされてしまう

これが通るんでしたら、毎年きちんと110万円以内での非課税枠を守って贈与をしている方や、110万円を超える贈与を行い、申告と納税をきちんと行なっている方がバカみたいですよね。

このように、親族間で行われる贈与というのは、口座間での送金といったような公の場所にデータを残さない限り、第三者にはそれがクリーンなお金か、やましいお金かが判断できないんです。

証拠がない2

ですから税務署は、タンス預金を用いた親族間の贈与について、その実態が真実かどうかが把握できないため、1000万円の贈与に対する贈与税を納めなさい、という強行手段、つまり決定処分を行います。

この処分内容に納得がいかないのであれば、今度は納税者側が、贈与税の基礎控除110万円の範囲内で贈与を受けていたことを証明する番です。

証明するのは納税者

ですが仮に、本当にこの親子が年間110円ずつ贈与を行っていたとしても、贈与者はタンス預金からお金を渡して、お金を受け取った人も受け取ったお金をタンス預金として、仕舞い込んでいるわけですから、どうしたって第三者に対して年間110万円で行われた贈与の実態を証明しようがありません。

ですので、結局この親子は税務署の決定処分に従って贈与税を支払う羽目になってしまうというわけなんです。

皆さんも、税務調査官になったつもりで想像してみてください。

・贈与を行う側もタンス預金からお金を出し、贈与を受ける側ももらったお金をタンス預金としている
・すでに贈与を受けた人の手元には数千万円のお金がたまっているが、二人はそのお金は年間110万円の非課税枠内で贈与をしたものだと主張します。

クイズ

どうでしょうか。

皆さんが税務調査官の立場だったら、二人の主張を信じてそのまま税務署に帰りますでしょうか。

皆さんだったらどんな判断を下すでしょうか。

とまぁ、このように不幸な冤罪を引き起こしてしまうのが、タンス預金なんですね。

当チャンネルをご覧の皆さんは脱税ではなく、正攻法で相続税を節税しようという方ばかりだと思いますが、贈与の方法・管理の方法を間違えれば、いつこのような不幸な冤罪に巻き込まれるかわかりません。

ですから、やはりやましくないお金というのは、出来る限り第三者からも把握できるようにしておいてくださいね。

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今回の動画のまとめ

では今回の動画のまとめです。

今回の動画では、今ため込んでいるタンス預金が、やましいお金かクリーンなお金かの証明責任は誰にあるのか、というテーマについて、税務署側に証明責任がある場合と、納税者側に証明責任がある場合についてお話ししてきました。

被相続人となる方の財産が、相続税の基礎控除である、3000万円+600万円×法定相続人の数を大きく下回る家庭であれば、税務署は最初から調査対象として選定しませんので、タンス預金をしていたとしても何も追求されることはありません。

下回る場合

また、亡くなった家族の方の財産が、相続税の基礎控除ギリギリ、または超えていた場合でしても、きちんと自分で稼いで所得税の納税も済ませたお金を、タンス預金として蓄えている方や、親族間の贈与をどちらか一方が銀行口座を使って行なっていた家庭の場合、そのタンス預金がやましいお金か、クリーンなお金かの真偽を証明するのは捜査官側ですので、今から必要以上に不安を感じる必要はありません。

まとめ1

ですが亡くなった家族の方の財産が、相続税の基礎控除ギリギリ、または超えており、贈与をした側・贈与を受けた側双方が、タンス預金を使った親族間の贈与を行っている家庭、この家庭の場合は、正直将来税務調査が入った際には、贈与税の支払いの決定処分を受けるか、贈与を受けた方のタンス預金は、亡くなった方のお金と認定される。

という覚悟をされておかれた方が良いと思います。

まとめ2

今この動画を見ておられる方で、このケースに該当される方もいらっしゃると思います。

おそらくそういった方からは、では今からどうすればいいんでしょうか、という質問があると思うのですが、今現在贈与をした側・贈与を受けた側双方がタンス預金を用いた家族間の贈与によって貯まったお金に関しては、私は解決策をアドバイスすることはできません。

あえて言うとすればこの動画「【国税OBが語る】へそくりは旦那にばらせ!専業主婦の高額預金やへそくりが税務署に狙われやすい理由!税務調査を受けない為に取るべき3つの行動も解説 」を見ていただき、既に行われた贈与をリセットされるしか方法はないかもしれませんね。

私がアドバイスできることとしては、これから贈与を行う場合には、贈与する側は自身の預金口座からお金を送る、贈与を受ける側は、自身の預金口座で受け取る、といった形での贈与に切り替えていただくということぐらいですね。
まとめ3

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秋山 清成
相続のご相談なら、秋山税理士事務所へ。国税局・税務署で40年以上相続を取り扱ってきた税理士が、相続対策や節税方法、相続税申告、贈与税についてのご相談など親切丁寧にサポートいたします。SRS(相続リモートサービス)にて全国のお客様に対応しております。どうぞお気軽にご相談ください。