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この人が税務調査に来たらヤバい!税務調査官の能力をレベル別に公開!

 
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秋山 清成
国税局・税務署で40年以上相続業務に従事して来た国税OB税理士です。元国税の経験を活かし、相続・贈与で悩む方々に少しでも有益なコンテンツを届けれられるよう、日々記事や動画を投稿中です。(Youtube登録者数:11万人)

少し前のニュースになりますが、チュートリアル徳井さんの脱税が大きく報道されましたよね。

その際には、徳井さんの所得隠しや無申告を追及する為、東京の国税局が動いていました。

 

結局徳井さんの件は、刑事事件にはなりませんでしたから、

➡悪質な納税者の刑事責任を追及する国税局査察部ではなく、

➡恐らく国税局機動課資料調査課が調査をしたんでしょう。

 

逆に青汁王子の脱税は事件として扱われましたから、国税局のマルサ(国税局査察部)が動いていました。

この様に、税金に関する大きな事件が起きた際には、同じ国税局でも事案の内容によって、全く違う部署の人間が携わることになるんです。

 

また、このような大きな事案などではなく、もっと一般的な税務調査の際にも調査の規模や重要度に応じて、その事案に携わる調査官のレベルは変わって来ます。

 

ですので今回の記事では、

国税局、税務署内には一体どんな役職があるのか?

その役職の中での調査官の調査能力ランキング

事案の規模に応じて携わる調査官が変わる

というお話しを、イラストを使いつつ解説していきたいと思います。

 

皆さんが将来的に、所得税や相続税の関係で税務調査に入られる可能性というのは0ではありません。

そうなった場合、『どんな調査官が自分の元にやって来るのか?』というところを、この記事にて少しでも覚えて頂ければと思います。

 

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記事を読みたい方は、このまま下に読み進めて下さい。

 

 

①国税局、税務署内にはどんな役職があるのか?

まずは一口に税務調査官と言っても『どんな役職があるのか』と言うところをお話します。

 

まず全国には、各都道府県の市や区に524の税務署があり、

さらに東北・関東・関西・四国など、各地域毎の税務署を束ねる国税局が12局(11局1所)あります。

その上に国税庁があるんですね。

大きな組織ですから、色々な部署があり色々な肩書があるのですが、今回は皆さんに直接関係がある『税務調査官』に絞ってお話します。

 

②国税調査官の役職

調査官は国税局・税務署にそれぞれ配置されています。

まずは国税局にある部署と調査官の役職を見ていきましょう。

 

各部署の役割と名称は次のようになっています。

税務署の職員と一緒に調査をしながら、職員の指導も行う機動課、

個人や中小の法人を調査する資料調査課、

それと、

大規模法人の調査をする調査部と、

大口や悪質な納税者の刑事責任を追及する査察部、という大きな括りになっています。

皆さん聞き覚えのある『マルサ』というのは、この国税局査察部の事ですね。

 

ですが本当に余程のことをしない限り、一般の方が『国税局調査部』や『マルサ』からの調査を受ける事はありません。

一般の方が国税局から調査を受けるとしても、出てくるのは『機動課』や『資料調査課の調査官』です。

 

しかし、『調査部』や『マルサ』じゃないからと侮ってはいけません。

資料調査課に睨まれたら、どんな税理士でもお手上げなんです。

 

国税局で税務調査に関係する人を簡単に説明すると、下図のようになっています。

 

各地域の国税局や部署によって名前にばらつきはあるのですが、概ねこのような感じですね。

 

資料調査課で言うと、

一番偉い調査官は「総括主査」、

次が「主査」、

そして「実査官」となります。

これらの役職の内、実際に現場に出てくるのは「主査」や「実査官」、「国税調査官」「国税査察官」です。

 

先ほども言いました様に、よっぽどの事をしないかぎり調査部やマルサが出てくることはありません。

 

③税務署の調査官の役職

では次は、皆さんに一番関係のある税務署内の調査官の役職を見ていきましょう。

税務署内にも色々な部署と役職があります。

 

これも各税務署によって若干名前が違ったりはするのですが・・・、

まず、調査官がいる部署は下図のように税金の種類によって分かれています。

 

私のHP(相続専門)を見て頂いている皆さんに関係があるのは、『資産課税部門』ですね。

『資産課税部門』では、相続税、贈与税、譲渡所得税といった税金を扱っています。

 

また、それぞれの部署の構成は下の様になっています。

 

部門の元締めが、統括国税調査官といいまして、税務署内の略称は「統官」と言ってます。

普通の会社でいうところの課長ですね。

 

第一部門の統括国税調査官なら「一統官」第二部門なら「二統官」という風に、部門ごとに呼ばれています。

この「統官」の下に「上席国税調査官」がおり、その次に「国税調査官」さらに「事務官」がいます。

 

「上席国税調査官」の税務署内での略称は「上席」で、「国税調査官」と「事務官」は平社員的な位置なので特に略称はありません。

「国際税務専門官」は国際取引の税務調査を担当する部署です。

 

ちなみに、第一部門は部門全体の元締めですから、調査には姿を見せません。

ですので、皆さんの元に「調査に伺います」と言って来るのは、一般的に第二部門以降の、

上席国税調査官、

国税調査官、

事務官、という事になります。

 

 

④特別国税調査官

規模の大きな税務署には、先ほどの三つの部署(個人課税、法人課税、資産税)以外にも、『特別国税調査官部門』という部署があります。

この部署では、

何億もの資産を持っている大口の資産家の人とか、

法人の株主、役員に関連する贈与税や相続税を調査しています。

 

下の画像に簡単に私の略歴をまとめさせて頂いたんですが、

私自身も定年で退職をする2年前に、兵庫県の西宮税務署という所で1年間「特別国税調査官」をやっていました。

私は資産課税の担当でしたから、西宮税務署では相続財産の大きな事案の調査をしていました。

 

この部署は所属している全員が実際に調査を行う調査官でして、構成は、

特別国税調査官(特官)、

上席国税調査官、

国税調査官、となっています。

この「特別国税調査官」と、別の部署にいる「特別国税徴収官」、この二つの役職の人は税務署内で「特官」と呼ばれています。

何年か前に『トッカン』というテレビドラマがやっていましたけど、あれは「特別国税徴収官」なので、私がいた部署とは別の部署を舞台にしたドラマですね。

 

ちなみに下の図のように、各部門の「統括官」は税務署の「副署長」の下に所属してるんですが、

「特官」は「副署長」と同じ位の立場があります。

税務署内にある部署や調査官はこんな感じになります。

 

⑤(調査官の調査能力ランキング)税務調査の規模に応じて出て来る調査官は変わる

さてここまで、様々な役職の調査官が出てきましたが、後半では、

その役職の中での調査官の調査能力の違いと、

調査官は事案の規模に応じて携わる人物が変わる、という話をしていきたいと思います。

要は「誰が調査にきたらマズイのか!?」というところですね。

 

ⅰ調査官にも能力差がある

何事においても同じなんですが、人間にはその能力に個人差があります。

ですので一括りに調査官と言いましても、 調査が得意な者・不得意な者」がいるんですね。

調査が下手な人が来てくれた方が納税者の方としてはラッキーですが・・・、納税者側が調査官を選ぶなんてことは勿論出来ませんよね。

ただ、調査に来る調査官が先ほど紹介した「どの部署のどの役職か」によって、「自分がどの程度問題視されているか」ということは、ある程度予測ができます。

 

税務調査官は「長く勤めていれば上の役職が手に入る」というものではなく、やはり上の立場になる人ほど調査が上手いです。

そういった調査官に調査に入られましたら、ドバっと追徴課税を持っていかれたりするんですね。

 

ⅱどの調査官に調査に来られたらマズイのか!?

ではここからは、私が長年担当して来ました「相続税の税務調査」に当て嵌めて、

あなたのご家庭が相続税の税務調査に選ばれた場合、「当日は誰に調査に来られたらマズイのか!?」というところを詳しく解説をしていきます。

 

どの役職の調査かが出てくるのか?というところは、調査事案の規模によって異なっています。

例えば、

相続財産が基礎控除ギリギリ、

基礎控除をちょっと超すぐらい、

追徴課税がそこそこ取れる、

このような、調査が比較的簡単に済む一般的な調査案件でしたら、資産課税部門の中の若手職員(事務官)が、調査の練習のような感じで出てきます。

 

その次に出てくるのが国税調査官や上席調査官ですね。

 

また、比較的大きな税務署には、第二部門に「資産機動官」という調査官がいます。

普通の調査官は、自分のいる税務署が所轄している地域の調査案件しかこなしませんが、

この「資産機動官」は、自分が所属している税務署以外の税務署の相続税事案でも調査が出来るんです。

 

ですから、自分が相続税の申告書を提出したのがA税務署なのに、B税務署の税務調査官から『調査に伺います』と連絡があったら、この資産機動官だと思っていいですね。 

資産機動官は、部門の中でも調査が上手いので、この職員が来たら要注意です。

 

さらに大口の資産家になりますと、調査の際には「特別国税調査官」が出てきます。

恐らく今も同じだと思うのですが、私がいたころは、相続財産3億円以上の人大口資産家として調査対象になっていました。

そして、

さらにさらに大口の資産家や、悪質な不正をした納税者の場合は、

いよいよ国税局の『機動課』や『資料調査課』の調査官が出てきます。

 

そして冒頭にもお話した様に、テレビでも大きく報道される様な、大きな事案になりますと、『国税局査察部』が動きます。

 

仮に、この記事を読まれている方の元に、「もしもし、国税局の○○ですけど、調査に伺いたいのですが」という電話が掛かってきましたら、これはもう諦めた方がいいですね。

 

国税局には、調査官の中でも選りすぐりの切れ者ばかりが集まっていますから、仮に抵抗したとしても丸裸にされます。

 

ⅲ調査官の調査能力ランキング

ではここまでの話のまとめとして、調査官のレベルを納税者から見て、この人が調査に来るとマズいな』という順に並べますと、

国税局の調査官(国税局資料調査課の主査や実査官)

各税務署の特官(特別国税調査官)

各部門(個人課税部門・法人課税部門・資産課税部門)の第二部門の機動調査官

上席調査官・調査官

事務官

となります。

 

ただし「ウチには若手の調査官が来た!ラッキー!」と思わないでくださいね。

何にでも例外がありますように、若手の切れ者はいますので・・・。

 

それから余談になりますが、調査に来られる時期も大きく影響があります。

税務署の人事異動は、毎年7月10日と決まっていまして、7月直後に「もしもし調査に伺います」という電話があったら、これもマズいですね。

人事異動直後は、調査官は「先ずは一花咲かそう」張り切っていますので、沢山税金を取れるところを狙っていますから・・・。

 

逆に確定申告が終わった4月以降でしたら、翌年6月末までの件数処理のような感じで調査に来ますから、比較的緩やかな調査になります。

 

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秋山 清成
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