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タンス預金はバレる!国税OBがタンス預金をオススメしない5つの理由

 
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秋山 清成
国税局・税務署で40年以上相続業務に従事して来た国税OB税理士です。元国税の経験を活かし、相続・贈与で悩む方々に少しでも有益なコンテンツを届けれられるよう、日々記事や動画を投稿中です。(Youtube登録者数:11万人)

日頃から相続・贈与の情報を発信している当事務所ですが、お客さんから

「私の親は結構な金額のお金を、タンス預金として保管しています。これって将来相続が発生した際に税務署にばれますか?』

とか

「去年親から現金で100万円をもらい、家の金庫に保管しました。そして今年も、親から100万円をもらい、同じく家の金庫に保管しています。このままタンス預金として保管を続けるのは何か問題がありますか?」

といった、タンス預金を行うことの是非についてよく質問を受けます。

 

現金を資金移動の記録が残らない場所に保管する『タンス預金』はやったほうがいいのか、やらない方がいいのか・・・

 

ずばり結論から言いますと、私はこういったタンス預金での現金の保管はお勧めしておりません。

 

なぜなら、単純に『タンス預金でお金を貯めること自体』が、皆さんにとってメリットよりもデメリットの方が大きいからです。

具体的なデメリットとしては、一度タンス預金でお金を保管してしまうと、

● もうそのお金を自由に使うことは難しくなる、

● タンス預金を隠して相続税の申告を行わなかった場合、税務署にバレた際に悪質とみなされ、多額のペナルティを受ける、

このようなリスクがあります。

 

ですので、今回の記事では、タンス預金とはどういったものか、これをはじめに解説した上で、なぜタンス預金は税務署にバレてしまうのか、その理由と、タンス預金をすることによって生じる5つのデメリット、という3つのテーマについてお話していきます。

 

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記事を読みたい方は、このまま下に読み進めて下さい。

 

①タンス預金の概要

まず皆さん、タンス預金と聞くと

● お給料で入ってきた収入や、親や祖父母からもらったお金などを、自宅のタンスにしまいこんで保管するもの

という認識だと思いますが、この他にも

● 自宅の床下や屋根裏、金庫などに保管したものもタンス預金となります。

 

 

ではこのタンス預金、今の日本においてどれくらいの金額が蓄財されているか皆さんご存知でしょうか。

 

第一生命経済研究書が発表する、2019年のレポートによれば

日本の紙幣の流通高は2018年末に100兆円を超えた。その中でタンス預金として保蔵されている金額も、2019年1月末に50兆円という大台に乗った

と書かれています。

なんと2019年の1月時点で、日本には約50兆円のタンス預金が眠っているんです。

 

なぜこれほどの金額がタンス預金として家庭内に保管されることになったのか?

 

その理由としては

● 銀行預金はマイナス金利や金融機関の破綻の影響を受ける可能性があるといった、金融システムに対する不安

● 相続が発生した際には口座凍結のリスクが発生する

● 税務署にできるだけ自分の資産を把握されたくないという預金者の思い

● 相続税や贈与税を払いたくないという、脱税目的

こういったことが合わさってタンス預金というものが行われているんです。

 

②なぜタンス預金は税務署にバレてしまうのか

ではこのタンス預金のお金。

【実際に使った場合】や【相続が発生して税務調査が行われた場合】には、税務署に把握されてしまうものなんでしょうか。

 

「金融機関にも預け入れていないし、資金移動の記録も残していないんだから、絶対にバレようがない。」

 

と、このように考える方が多いんですが、タンス預金は税務署にばれます。

 

では税務署は、金融機関のデータにも残っていないタンス預金をどうやって把握するのか?

その調査手法についてお話します。

 

税務署には、国税総合管理システム通称「KSK」という国税庁独自の大型コンピューターがあり、ここに皆さんの過去のお金に関する情報がすべて入っています。

例えば

● A子さんが、30年前に土地を売って高額のお金が入った

● B男さんが、生命保険料支払い、C男さんがその保険金を受け取った

● D子さんが、金を売却した

● E男さんが、不動産を他の会社に賃貸して賃料をとっている

このような取引内容は、取引先により『支払調書』という形で税務署に提出され、「KSK」に入力される事になります。

ですので、

● 誰かがある程度大きな金額で不動産を売却したり、

● 保険の契約をしたり、

● また不動産を購入して登記をしたり、

● 住宅ローン組んだり、

こういった行動を取るとその情報は税務署に筒抜けになるんです。

 

また税務署には、日々亡くなった方の家族から相続税の申告書が提出されてくるのですが、相続税がかかるような財産をお持ちの方は、生前に何らかの税金の申告をされています。

税務調査官はその申告内容から、

● 大体の収入を割り出し、

● 生活費や支払ってきた税金を差し引いて

● 蓄財できたであろう財産を計算します。

 

例えば、10年以上働いて稼いできた方がいらっしゃったとすると、

「過去の申告内容から、この人の収入なら10年以上の勤務で5000万円は蓄財できただろう」

とこういうふうに目安をつけます。

 

次に「KSK」を使い、

● システム内に登録されている情報をもとに、

● 先ほど計算した、蓄財できたであろう財産から大きな買い物の金額を差し引くと、

大体の金融財産がいくらになるのかが分かります。

 

ここまでで、亡くなった方の金融財産の額についてある程度のあたりをつけた後は、

● 実際に提出された相続税の申告書の内容と、

● 調査官が「KSK」のデータを元に計算した、亡くなった方の財産額を比較します。

 

その際に「KSK」のデータを基に計算した結果では、

● 蓄財できた財産5000万、

● 大きな買い物2000万円だったとすると、

● 亡くなった方の残りの財産は3,000万円くらいです。

 

ですので、申告書にも同じくらいの財産が記載されているはずですが・・・

 

実際に提出された申告書には預金が1000万円しか記載されていない。

 

あれ?じゃあこの差額2000万円はどこにいったの?」となるわけです。

 

このように、

● 申告書に記載されている内容、預金1000万円と、

● 調査官が計算した財産内容3,000万円に大きな差があれば、

● 調査官は金融機関に照会文章を送り、亡くなった方の相続人の預金照会を行います。

 

その際調査官は、

● 被相続人が亡くなられた日から起算して、死亡前の過去3年間、死亡後6か月間の

● 亡くなった方とその家族の方々、全員の取引内容を調べるわけです。

 

その結果、

● 配偶者の預金額を見るとあまり預金を待っていない。

● 子供たちの預金額を見ても、自身の収入上の預金を持っていない。

● 贈与税の申告書も提出されていないし、亡くなった方から相続人に贈与が行われた訳ではない。

 

「じゃあこの人は自宅にタンス預金があるんじゃ?もしくは、家族が生前にお金をもらったのを無申告でタンス預金にしているんじゃ?ちょっと解明してみようか」

ということで、調査対象とするわけです。

 

このように税務署は、

● 「KSK」や各金融機関、法務局や保険会社などから日々膨大な情報を収集しており、

● その結果、納税者のタンス預金がバレるのです。

 

 

③タンス預金の5つのデメリット

ここまで「タンス預金は税務署の情報収集力によって結局バレます」というお話をしてきました。

ですが実際には、

● すべての家庭のタンス預金が100%の確率でバレるわけではありませんし、

● そもそも相続税がかからない財産額の家庭がタンス預金をしていても税務署は何も言いません。

 

ですが冒頭でも言いましたように、一度タンス預金をしてしまうと、

● タンス預金として保管していたお金は使いづらくなるといったデメリットや、

● キチンと家族間で110万円以内での贈与を行っていたのに、税務調査官からあらぬ疑いをかけられてしまうデメリットもあります。

 

ですのでここからは、実際にタンス預金をすることにより生じる5つのデメリットについてお話していきます。

 

ⅰ一度タンス預金をすると、そのお金を自由に使えなくなる

デメリットの一つ目は、【一度タンス預金で高額なお金を保管してしまうと、そのお金を自由に使えなくなる】というものです。

 

例えば、

● A子さんという人が、親のタンス預金から毎年贈与税の基礎控除内の金額で贈与を受けて、

● A子さんはそのお金を自分のタンス預金にしていたとしましょう。

 

● その贈与が5年間続き、550万円のお金がA子さんの手元に貯まったとします。

● そのお金を元手に、A子さん不動産を購入し、不動産登記を行いました。

そうしますと、税務署はこの記事「【国税OBが語る】タンス預金の潔白は自分で証明するの税務署側が証明するの?」 でもお話しているように、

● A子さんが不動産を購入したと言う情報を、法務局から手に入れますので、

そこでA子さんは不動産購入の実態が捕まれ、

● 税務署から『お買いになった資産の買い入れ価格などについてのお尋ね』という文書が送られてきます。

 

このお訪ねの内容としては

● あなたの年齢・職業・所得

● 住宅等の買い入れ価格

● 登記費用や仲介手数料

● 支払金額の調達方法

などが尋ねられており、不動産を取得した人は各項目を記入して税務署へ提出するわけですが、A子さんは

④『支払い金額の調達方法』について「親からの暦年贈与5年分から支払った」と書き、税務署に提出しました。

 

一見、A子さんの行動は何も問題ありませんよね。

 

毎年110万円以内の贈与は法律で非課税となっていますし、そこから不動産の購入資金を捻出することも何も問題はないように見えます。

ですがこの場合、何も問題がないとわかっているのはA子さん本人だけなんです。

 

A子さんからの返信が書かれた書類を見た税務調査官は

「5年間で550万円の贈与を受け、そのお金で払ったと書いてあるけど、親の口座からA子さんの口座にお金が移っている記録もないし、本当は一括で親からお金をもらっていたのに贈与税の申告と納税をしていなかったんじゃないのか」

と疑い、A子さんを追求するんですね。

 

A子さんは、

● 親のタンス預金から毎年贈与を受け、

● それを自分のタンス預金として保管していたものですから、

調査官に対して「贈与税の基礎控除110万円の範囲内でもらったお金が貯まったものです」と言ったところで、

そのことを証明することができないんです。

 

先ほどの「KSK」システムのところでも説明しましたが、税務署は

● 誰かがある程度大きなお金を使って、高級車や不動産を買ったり、

● 住宅ローンを組んだり、保険の契約をしたりといった行動を取ると、

その情報を把握した上でお金の出所を調べます。

 

その結果、

● 親からもらったタンス預金で大きな買い物をした人は、そのお金の出所が不透明であることから、

● 税務署から贈与税の無申告を疑われてしまうのです。

 

現金を銀行口座ではなくタンス預金で貯めておられる方は、このように

お金の不透明性や現金の蓄財の過程をきちんと税務調査官に証明できない」

という後ろめたさも相まって、【タンス預金で貯めたお金で大きな買い物をする】という選択肢が取りづらくなるんですね。

 

ⅱ将来の税務調査時にタンス預金が発覚するとペナルティがある

デメリットの2つ目は【将来の税務調査時にタンス預金での税金逃れが発覚すると、重いペナルティがある】ということです。

 

相続税というのは、

● 亡くなった方の財産のうち、各家庭における基礎控除を超える部分に対して掛かる税金ですから、

● 亡くなった方の財産額が少なければ少ないほど、支払う相続税も減ります。

 

そして、支払う相続税を下げようとして用いられてしまう方法の一つが『タンス預金』です。

 

具体例を上げるために、仮に次の画像のような家族をモデルケースとしてお話をしていきましょう。

 

● 被相続人の現預金額は7,000万円、

● この方が亡くなった時の相続人が3人なので、基礎控除額は4,800万円になります。

通常の場合は、7,000万円から4800万円の基礎控除を引いて、2,200万円の部分に相続税が課されるのですが、

 

もし被相続人の方が生前に3,000万円の現金をタンス預金として隠していたらどうなるでしょう。

 

● 被相続人の現預金額は4,000万円、

● 基礎控除額は4,800万円ですから、この家庭には相続税がかかりません。

 

これで「相続税の申告もしなくていいし、税金も払わなくていい、よかったよかった」

と、こう思われる家庭もあるかもしれませんが、これは非常に危険です。

 

税務署は、

● 相続税の基礎控除を大きく下回るような家庭の調査を行っていませんが、

● 基礎控除を超えるか超えないか、ギリギリの家庭の調査は積極的に行っています。

 

その理由は、この記事「【国税OBが語る】相続税が掛からないと思っている人ほど危ない!税務署は無申告の人を狙っています! 」でも解説していますが、

税務調査官にとって【相続税の無申告案件】というのは、楽に手柄を挙げることができる非常に美味しい案件だからなのです。

 

ですから、

● タンス預金を使って相続税の基礎控除をギリギリ越えないように調整しても、

● 税務署の情報収集力によって補足されるんですね。

 

ではもしも、

● タンス預金が発覚し、

● 税務署から修正申告をするように指導された場合、

一体どのようなペナルティーを受けるのでしょうか?

 

詳しい数字までお話していると、記事が長くなりますので、ざっくりと話しをすると、

● 相続税の申告・納税期限から実際に納付をする日までの日数に応じた延滞税が課税され。

 

また【タンス預金を意図的に隠して相続税を少なく申告したことが、隠蔽にあたると判断された場合】には、

● 先ほどの延滞税に加え重加算税35%が課税されます。

 

また【タンス預金を意図的に隠して相続税を無申告で逃れたことが隠蔽にあたると判断された場合】には、

● 先ほどの延滞税に加え、重加算税40%が課税されます。

 

つまり、本来支払うべきだった相続税のほかに、非常に重たいペナルティを支払うはめになるんですね。

 

また【1億円を超すようなタンス預金を意図的に隠していた場合】には、脱税で起訴されることもありますから、

やはりできるだけ素直に申告せておく方が無難ですね。

 

ⅲ内外を通してセキュリティ面に問題がある

デメリットの3つ目は【内外を通してセキュリティ面に問題がある】ということです。

 

【外向きのセキュリティの問題】については、皆さん想像がつきますよね。

一般的なタンス預金というのは、

● 銀行のような厳重な金庫もなければ

● 預金を守ってくれる警備員もいません。

 

私の事務所のお客さんの中には、実際にタンス預金を盗まれた方がいらっしゃいます。

その方はある日、登記費用の支払いのために30万円ほどを引き出し家に保管していたのですが、その日の夜に泥棒に入られ、その30万円をすべて盗まれてしまいました。

幸いその方は寝ていて、犯人とは鉢合わせせずに済んだのですが、本人はかなり気落ちされていましたね。

 

ですからタンス預金をしていますと盗難のリスクや、火災、自然災害によって自宅に保管していた大金が失われてしまう危険性が常にあるんです。

またタンス預金は内向きのセキュリティにも弱いという欠点があります。

内向きのセキュリティとは何かというと、家族の取り込みです。

あまり気持ちの良い話ではないのですが、あり得ない話ではありません。

銀行や証券口座にお金を預け入れている場合でしたら、本人以外が出金しようとしても、ATMでは暗証番号を求められたり、窓口では本人確認が行われますので、簡単にはお金を知らせません。

しかし自宅に保管されているタンス預金でしたら、そういったセキュリティはありませんし、どうしてもお金に困っている家族がお金を取り込んでしまう可能性はゼロではありません。

そして、それにより家族間における不信感やトラブルなどに発展する可能性も、タンス預金にはあるんですね。

 

ⅳ保管場所を失念・紛失する可能性がある

次にタンス預金をすることにより生ずるデメリットの4つ目は、預金の保管場所を忘れる、又は紛失するリスクがあるということです。

先ほどのセキュリティの話にも関係するのですが、盗難や自然災害のリスクからタンス預金を守るために、タンス預金を本人しかわからない屋根裏とか、床下とかにお金を保管する人もいます。

そういった場合、人目につかない場所に保管したことが裏目に出て、保管した本人も場所を忘れてしまうことが起こるんですね。

また、そのまま被相続人がタンス預金の存在を家族に明かさずに亡くなってしまった場合、タンス預金のことを聞いていなかった家族は、もちろんその存在を知りません。

ですので、先ほどの相続税のペナルティの話でも出てきましたが、残された家族は被相続人のタンス預金の存在に気づかないまま相続税を申告し、結果、過少申告加算税や延滞税という罰則を受けるという、可能性もあるんですね。

 

実際に、私は昨年知り合いの税理士が関与した、とある方の相続税の調査立会いをしたのですが、初日の調査で税務調査官が、家の中を見せてくださいというものですから、どうぞどうぞと言って一緒に家の中を見て回っていました。

そしたらなんと、タンスの引き出しから紙袋に無造作に入れられた、5000万円もの現金が出てきたんです。

とんでもない大金持ちのお宅だったんですが、相続人である奥さんもお金の存在を忘れていたらしいんです。

幸い隠していたんじゃなくて、忘れていたのですから、重加算税は免れました。

税務調査官は当初、故意に申告から除いていたんだろうと重加算税をかけるような言い方をしましたが、故意に隠していたんだったら、調査官が来て調査を受けるのにすぐに見つかるようなところに平然と置いておかないでしょう、と言って重加算税の課税は免れました。

タンス預金にはこういった失念や紛失により、残された家族にペナルティが振りかかるリスクもあるんですね。

 

ⅴ2024年の新札発行により更に旧札が使いづらくなる

そして最後にタンス預金をすることにより生ずるデメリットの5つ目は、2024年の新札発行により、さらに旧札が使いづらくなるということです。

政府はこれまで約20年ごとに紙幣を切り替えていまして、前回の紙幣の切り替えは2004年の11月に行なわれました。

そして今回の新札への切り替え時期は2024年に行われると既に公表されています。

その際、現在の紙幣をタンス預金として持っている人は、2024年の新札切り替えのタイミング以降、これまで以上にお金が使いづらくなります。

具体例を一つ挙げますと、仮にあなたが車の販売店の店員で、車を買ってくれたお客さんが500万円分の現金を一括で、しかもすべて聖徳太子の柄のお札で支払ってきたらどうしますか。

びっくりしますし、その人のことはしばらくの間こういう人がいた、って話題にしますよね。

 

またこの聖徳太子の500万円は受け取ってもいいのかと、税務署に連絡するかも知れません。

 

旧紙幣でタンス預金をしている人は、こういった買い物の際に抱かれる疑念や、税務署への連絡を恐れて、2024年以降は旧札での大きな買い物というのが、これまで以上にしづらくなります。

じゃあ旧札と新札の区別をなくせばいいんだ、と、新札切り替え前にタンス預金を全て銀行口座に預け入れればどうでしょう。

 

この場合も、ある日突然その人の通帳に大金が入金されるわけですから、そこで資金移動の記録が残らないようにと、これまで必死に隠していたタンス預金の存在が露呈してしまうわけです。

やはりどう転んでも、一度タンス預金で溜め込んだお金というのは表では使いづらいんですね。

 

まとめ

では今回の記事のまとめです。

現在の日本においては、2019年1月の時点で約50兆円のタンス預金が眠っていると言われています。

確かにタンス預金にはメリットもありまして、銀行に預けている際のマイナス金利の影響を受けないとか、金融機関の破綻の影響を受けなくてすむ、という利点もあります。

しかし一方で、一度タンス預金という形で数百万円以上の現金を保管してしまうと、タンス預金の特徴である、不透明さゆえに現金を自由に使うことが難しくなりますし、かといって使えないからと家にずっと置いておけば、年数が経つごとに紛失や盗難、家族間での取り込みのリスクも上がります。

 

その上、将来の税務調査の際に、タンス預金による税金逃れが発覚した場合には非常に重たいペナルティを科されることになるんです。

ここまで聴いて頂いた皆さんなら、やはりタンス預金で高額な現金を保管しておくというのは、メリットよりもデメリットのほうが圧倒的に大きいということが、わかってもらえたのではないでしょうか。

またタンス預金というのは、どうしても税務調査官からは脱税をして貯めたお金、という風に見られてしまいます。

ですので私は、常日頃からお客さんに対して、やましくないものは誰から見てもすぐに分かるような形で残しておいてください、例えば現預金の贈与であれば、少々振込手数料がかかったとしても、振り込みという形で証拠を残しておいてください、と言っているんですね。

年間110万円の贈与であっても、きちんと振り込みで行っていれば、将来税務調査を受けたとしてもその証拠をただ見せるだけで、やましいお金ではないことが調査官には伝わります。

ですが、親のタンス預金から子供にお金がわたり、子どももそのお金をタンス預金で保管していた場合、それを将来の税務調査で説明するのは至難の技です。

 

あれやこれや説明するなんて、時間も労力もかかりますし、親子2人しか知らない行為ですから結局、調査官にわかってもらえないことさえあります。

ですから、できればやましくないものは公明正大にやっていただいた方が良い、ということは確実に言えます。

タンス預金でお金を貯めるといった、リスクの高い方法をわざわざとらなくても、当事務所でこれまでお話してきたような、110万円の暦年贈与や110万円以上の贈与、その他贈与の特例制度や、生命保険の非課税枠を活用したり、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例を使えば、十分将来支払う相続税の額を抑えることは可能です。

 

これらの制度をきちんと理解し、活用していただくことで、何の後ろめたさもなく賢く堅実に、将来の相続税の節税を行って頂ければと思います。

この記事を書いている人 - WRITER -
秋山 清成
国税局・税務署で40年以上相続業務に従事して来た国税OB税理士です。元国税の経験を活かし、相続・贈与で悩む方々に少しでも有益なコンテンツを届けれられるよう、日々記事や動画を投稿中です。(Youtube登録者数:11万人)