相続における必須知識!これをしないと配偶者の税額軽減は使えません!!

ABOUTこの記事をかいた人

秋山 清成

相続のご相談なら、秋山税理士事務所へ。税務署で40年以上相続を取り扱ってきた税理士が、相続対策や節税方法、相続税申告、贈与税についてのご相談など親切丁寧にサポートいたします。SRS(相続リモートサービス)にて全国のお客様に対応しております。どうぞお気軽にご相談ください。

     

    皆さんは将来の相続税を節約するために、雑誌やインターネットなどで色々な情報を集めていらっしゃいますよね。

    その情報の中には生前贈与の方法や、【配偶者の税額軽減】【小規模宅地の特例】などの相続税の申告で使える特例の情報もあったと思います。

     

    では、皆さんの中で【相続税法】について調べられた方はいらっしゃるでしょうか?

     

    「えっ?相続税の申告をするために法律まで覚えなきゃいけないの??」

    と不安に思われたかもしれませんが、相続税の申告を相続税専門の税理士に依頼をする場合には特に問題ありません。

     

    しかし「この特例があるから、うちは相続税はかからないね!」なんて上辺の情報だけ調べてのんびり構えているあなた!

     

    特例は知っているだけではダメなんです。

    使うための手順をキチンと踏まなければ、最悪特例が使えなくなってしまいます!

     

    今回は【配偶者の税額軽減】の特例が使えなくなってしまった方の実例とともに、特例の使用方法についての注意点をお伝えしたいと思います。

     

     

    この記事内容を動画で見る

    この記事と同じ内容を、動画でも観て頂けます。

    記事を読みたい方は、このまま下に読み進めて下さい。

     

    なんど呼びかけても反応がない相続人

    これは私が税務署を定年退職する3年ほど前のお話です。

    ある資産家の方がお亡くなりになったのですが、待てど暮らせど相続税の申告書の提出がありませんでした。

     

    無申告の方を放っておくことはできませんから、税務署側でその方の財産を調べたところ、

     

    ➡相続人は3人(妻と子供二人)で

    ➡基礎控除4,800万円を上回る財産があったのです。

    そこで、「税務署側で調べた結果、あなたには相続税が掛かりますから相続税の申告をしてください」と相続人の方に何度も呼びかけたんです。

    しかし結果は梨の礫。

    どんな事情があったのか、頑なに申告をされませんでした。

     

    さて、「税務署はなぜ亡くなった事を知ってるの?」と疑問に思われたかたもいらっしゃると思いますが、この話題はまた次の機会にお話ししたいと思います。

     

     

    配偶者の税額軽減の特例を使うための条件

    後から判明した事なのですが、この相続人の方は

    「【配偶者の税額軽減】の特例があるから自分は相続税がかからない」

    と言うことで申告をする必要が無いと思っていたようです。

     

    しかし、その考え方が大きな間違いでした。

     

    配偶者の税額軽減の概要

    配偶者の税額軽減の特例の概要は、

    ➡亡くなった方の財産のうち

    ➡【法定相続分】

    ➡1億6,000万円まで

    ➡配偶者が相続しても相続税は掛からない。と言うものになります。

     

    法定相続分についてはこちらの記事で詳しく説明していますので、良ければこちらもご覧ください!

    (相続順位図あり)相続の法定相続人の範囲と相続割合を網羅的に解説

    2018.11.27

     

    相続人が配偶者と子供の場合ですと、配偶者の【法定相続分】は二分の一になりますね。

    その場合、例えば

    ➡5億円の財産を持って亡くなった方がいた場合、

    ➡この方の配偶者は2億5,000万円まで非課税で相続できるのです。

    亡くなった方の財産が多ければ多いほど、本当にこれだけの額の財産が無税でいいの!?と思うくらい特例の恩恵も大きな物になりますよね。

    ですがそれは、この特例が配偶者は亡くなった方とずっと一緒に財産形成に貢献してきたと言う貢献度を認めた特例だからです。

     

     

    配偶者の税額軽減の使用条件①

    【配偶者の税額軽減】の特例を使用するためには条件が2つあります。

    まず一つは【遺産分割協議書】を作る事。

     

    ➡土地や家、預金や株券などを相続人の間で仲良く分けて

    ➡遺産分割協議書を作り

    ➡相続人全員が内容に納得をすれば、それぞれが遺産分割協議書に実印を押して

    ➡印鑑証明書を添付します。

     

    配偶者の税額軽減の使用条件②

    二つ目の条件は

    ➡相続税の申告書に遺産分割協議書を添付して税務署に提出する事。

    この二つの条件を達成する事で【配偶者の税額軽減】の特例が適用されます。

     

    さて、皆さんもう事の顛末がお判りになられたことでしょう。

    今回のお話に出てきた相続人の方は、

    「【配偶者の税額軽減】の特例があるから自分は相続税がかからない」

    との考えから、そもそも相続税の申告をしてませんでしたよね。

     

    そして更に、この相続人の方はまた大きな間違いをします。

    それは税務署が「相続税の申告をするように」と何度も督促をしたのにも拘らず、相続税の申告をしなかった事。

     

     

    無申告者に対しての強硬手段【決定】処分

    この方のように、税務署からの督促を無視して相続税の無申告を貫いた場合、税務署は【決定】と言う処分を行います。

     

    ➡税務署が調べた調査額で相続財産と相続税を計算し、

    ➡「この額の税金を納めるように!」と決定通知書を相続人宅に送るのです。

     

     

    「それって、自分で申告をするのと何が違うの?」と思われるかもしれませんね。

    この方も同じように思われたのかもしれません。

    しかし、最初から自主的に申告をする・督促を受けて申告をするのと決定の処分を受けるのは全然違うのです。

    【配偶者の税額軽減】を使用するためには2つの条件を達成する必要がありましたよね。

     

    1⃣遺産分割協議書を作る事

    2⃣相続税の申告書に遺産分割協議書を添付して税務署に提出する事

     

    【決定】の処分を受けた場合は2⃣の条件を達成したことにはなりません。

    つまり【配偶者の税額軽減】の特例が受けられないのです。

     

    【配偶者の税額軽減】を使えないと言う事に吃驚されたのでしょう。

    その相続人の方は「どうにか配偶者の税額軽減を認めて下さい!」と言う事で不服審判所まで審査請求をしました。

     

    しかしその結果は

    結局この方は【配偶者の税額軽減】が認められず、相続税を納めることになりました。

    最初から相続税の申告書を提出していれば。

    或いは、税務署から督促が来た時に相続税の申告書を提出していれば。

    このような事にはならなかった訳です。

     

     

    知らないと怖い法律

    この【配偶者の税額軽減】を含め、相続税法の条文には様々な取り決めが書かれています。

    刑法などでしたら「これはしてはいけない事!」と言うのは皆さん勉強しなくてもある程度自分の身についていますよね。

    ですが、相続税の申告は人生においてそう何度も経験するものではありません。

     

    相続税法の条文を勉強をして覚えたところで、次回に活かせる機会はほぼ無いのですから。

     

    税務職員か税理士でないと、相続税のことは知らないのです。

     

     

    実のところ、私も今回の事が起こるまでは決定の処分が下れば【配偶者の税額軽減】が使えないと言う事を知らなかったのです。

     

    ➡遺産分割協議書を作成して

    ➡相続税の申告書に添付して税務署に提出

     

    すれば適用される手続きも難しくない特例でしたし、税務署からの督促があっても申告書の提出をしない方と言うのはいらっしゃいませんでしたから。

    国税局と税務署に長年務めていましたが、定年退職をする3年前まで本当に知らなかったのです。

     

    この相続人の方は2つの大きな間違った選択をしていましたよね。

    1⃣【配偶者の税額軽減】の特例があるから自分には相続税がかからないと思って、相続税の申告書をしなかった事

    2⃣税務署から督促があったのに相続税の申告をしなかった事

     

    このように、「この特例があるから自分は相続税がかからない!」

    なんて上辺の情報を知っているだけじゃだめなんです。

    特例を使用するための条件をキチンと理解しておかないと、結果特例が使えないと言う事になってしまいます。

    そのためにも、基礎控除を超えるような財産をお持ちの場合は、早めに相続専門の税理士に相談されることをお勧めします。

     

    相続税法のことなんて税務職員か税理士でないと誰も知らない事ですが、法律はよく知っておかないと怖いな、と感じた一件でした。

     

     

     

    相続に関する全記事はこちら
    贈与に関する全記事はこちら
    認知症対策に関する全記事はこちら
    相続についての耳より情報はこちら

    パソコン用の画像 スマートフォン用の画像