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【重要】遺言書を作らなければ不幸になってしまう家庭〝3選〟

 
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秋山 清成
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今テレビや雑誌などで、人生の終わりに向けた終活について頻繁に特集が組まれていますよね。

そしてその中でも、終活の必須ツールとして必ず紹介されるのが遺言書です。

遺言書さえ書いておけば家族の相続争いは回避できる、遺言書は必ず作っておきましょう、こういった文言をよく目にします。

ですが、私は税務調査官時代から税理士となった現在までに、相続税の案件を2万件以上見てきた経験から、遺言書がある家庭ほど相続争いが起こると考えています。

と言いますのも、相続争いが起こっている家庭の相続人に事情を聞きますと、過去の兄弟間の贈与格差を考慮できていなかったり、過剰な長男優遇など特定の相続人への贔屓が強かったりと、こういった遺言書の内容が原因で相続争いが起こっていたんですね。

遺言書がなければ兄弟が自分たちの意見をすり合わせながら遺産分割ができていたのに、遺言書の強制力によって、かえって相続人間で遺産に対する執着や相手への恨みつらみが強まっていたんです。

ですので、私自身は事務所に来られるお客さんに対して遺言書の作成を積極的に勧めてはいません。

遺言書を作られる際には自分1人だけの考えで作るのではなく、相続人たちへのヒアリングや読み聞かせを繰り返して、相続人の反応を確かめながら慎重に作成してくださいと伝えています。

ですが、遺言書の作成を積極的に勧めていない私でも、今回の記事で紹介する3つのケースのいずれかに該当する家庭に関しては、必ず生前に遺言書を作っておきましょうとアドバイスをしています。

ですので、今回の記事では生前に遺言書を作っておくべき家庭の特徴として、相続人の中に中程度以上の症状を持つ認知症患者がいる家庭、子供のいない家庭、離婚した前のパートナーとの間に子供がおり、現在再婚をしている家庭、という3つの家庭のケースについてお話しします。

 

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記事を読みたい方は、このまま下に読み進めて下さい。

 

①相続人の中に中程度以上の症状を持つ認知症患者がいる家庭

まず最初に生前に遺言書を作っておくべき家庭の1つ目は、相続人の中に中程度以上の症状を持つ認知症患者がいる家庭です。

なぜ相続人に認知症の方がいる場合、遺言書を作っておくべきなのか、その具体的な理由をお話しする前にこちらの一家を見てください。

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この林家は、2011年の4月に一家の父親である一徹さんが亡くなり、相続人は配偶者の菊さんと兄弟2人の3人です。

3人は亡くなった一徹さんの財産をどのように分けるのかの遺産分割協議を行い、菊さんは自分の財産として既に5000万円の資産を持っていましたので、次のニ次相続のことも考え一徹さんの財産を相続せず、両親と同居をしていた一成さんが5000万円の不動産を相続し、二郎さんは預金5000万円を相続しました。

一成さんは亡くなった一徹さんと同居していたので、亡くなった方が実際に住んでいた土地であれば、一定の要件を満たす相続人が相続した場合、その土地の330平方メートルまでを80%オフの価格で相続できる、小規模宅地等の特例を使うことができます。

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その結果、一成さんの不動産5000万円は1000万円という評価額で相続することができますので、最終的に一成さんの相続税評価上の財産額は6000万円となり、全体で支払うことになる相続税は120万円になりました。

そして、次のニ次相続で菊さんが亡くなった場合の林家全体の相続税額は80万円となり、結果的に林家の一次相続と二次相続を合わせた合計納税額は200万円になりました。

これが林家の家族のうち誰も認知症を患っていないケースとなります。

しかし一方で、一徹さんの配偶者である菊さんが中程度以上の認知症を患っていた場合、この一家の一次・二次を合わせた相続税額はどうなるでしょうか。

以前こちらの記事(「一度認知症になると相続・贈与の対策が一切出来ません」)でも解説しましたが、現在の日本の法律では相続人の中に中程度以上の症状を持つ認知症患者がいる場合、その過程においては誰がどの財産を相続するのかを話し合う遺産分割協議を、家族のみで行うことができません。

ですので、家族のみで遺産の分割を行う場合、林家の相続人たちは先ほどのように一徹さんの財産を自由に分割することはできず、民法で定められている法定相続分通りにしか財産を相続することはできないですね。

更に先程、一成さんが始めて一徹さんの自宅を相続した際に使った小規模宅地等の特例のようなお得な特例も使えません。

というのも、小規模宅地等の特例や、配偶者の税額軽減といった特例は、相続人全員で遺産分割協議を行い、その内容を遺産分割協議書にまとめ、この遺産分割協議書を相続税の申告書と一緒に税務署に提出することで、初めて特例の適用が認められるんです。

ですが、今回のケースの林家の場合、配偶者である菊さんが中程度以上の認知症を患っているため、遺産分割協議自体ができません。

この場合どうなるかと言いますと、一次相続における林家全体の相続税額は小規模宅地等の特例が使えないため630万円、その上、菊さんは一次相続において5000万円を相続しますので、菊さんが亡くなった際の財産額は1億円となり、二次相続の相続税は770万円。

結果的に林家の一次相続と二次相続を合わせた合計納税額は1400万円になりました。

相続人の中に認知症患者がいる場合といない場合の比較

どうでしょうか、相続人に中程度以上の認知症患者がいない場合の林家全体の相続税額は、効率的な遺産分割やお得な特例を使うことで一次相続・二次相続合わせて200万円、それに対して相続人に中程度以上の認知症患者がいる場合の林家全体の相続税額、は一次・二次合わせて1400万円です。

なんと、実に1200万円も納税額が違ってしまうんですね。

ですが、もし2番目のケースの場合に一徹さんが事前に菊さんの認知症のことを把握し、自分の財産のうち自宅不動産は長男の一成に、預金は次男のニ郎に相続させるといった内容の遺言書を書いていたらどうなっていたでしょうか。

この場合、菊さんが認知症を患っていたとしても、何も問題なく遺言の内容は成立し、林家全体の相続税額は一次・二次合わせて200万円になるんですね。(※遺言書を相続税の申告書と一緒に税務署に提出することで、特例の適用が可能)

このように、今現在相続人の中に中程度以上の認知症の方がいらっしゃる、または夫婦ともに高齢で認知症発症が心配というご家庭においては、残された相続人の方達が遺産の受け取りや相続税の支払いで困らないように、是非今から遺言書を作成されておくことをお勧めします。

その際の遺言書の書き方や作成時の注意点については、また改めて別の記事で詳しく解説したいと思います。

また、相続・贈与に詳しい方は、相続人の中に認知症の人がいても、裁判所に出向いて成年後見人をつけてもらえば問題なく遺産分割協議をすることはできるよね、とこのように思われる方もいらっしゃるでしょう。

確かに、相続人の中に中程度以上の認知症の方がいても、家庭裁判所に申し立てを行い、成年後見人と呼ばれる代理人が選任されると、遺産分割協議自体は認知症の相続人の方に代わり成年後見人を交えて行うことができます。

そして、遺産分割協議を行えるということは、たとえ菊さんが認知症を患っていたとしても、特例を使って相続税を下げられたり、亡くなった方の財産を効率の良い配分で分けることもできるんですね。

成年後見人を決めた場合のデメリット

じゃあ相続人に中程度以上の認知症の人がいても、成年後見人さえ付ければ、わざわざ遺言書を作らなくても問題ないんじゃない、とこう思われるかもしれませんが、成年後見人制度には複数のメリットもある一方で、制度を活用する際には選任手続きに時間がかかり、すぐに遺産分割協議を進めることができない、また成年後見人に対しては年間何十万円という手数料を認知症の相続人の方が亡くなるまで、ずっと払い続けなくてはならないというデメリットもあります。

ですので、認知性を患っている方に成年後見人を付けるかどうかというのは、一度相続税の専門家に相談をし、一次相続・二次相続のシミュレーションをしてから検討された方がいいでしょう。

 

②子供のいない家庭

次に、生前に遺言書を作っておくべき家庭の2つ目は、子供のいない家庭です。

子供がいない夫婦の法定相続分

なぜ子どものいない家庭は生前に遺言書を作っておくべきなのかと言うと、子供のいない夫婦の一方、仮に旦那さんである太郎さんが亡くなった場合、亡くなった方の財産を相続する権利というのは亡くなった方の親が存命の場合は配偶者と両親、亡くなった方の親が既に死亡している場合は配偶者と兄弟姉妹が持つことになります。

これが、夫婦間に子供がいれば、亡くなった方の財産に対する相続権を持つのは配偶者と子供となり、この親子間で遺産分割協議は完結します。

ですが、子供がいない場合は残された配偶者と夫の両親、もしくは夫の兄弟姉妹と話し合って遺産分割協議を進める必要があるんですね。

そして、この際に太郎さんの親や兄弟が不動産と預金に関して、自分は法定相続分通りに財産を相続させてもらうという主張をすれば、いくら花子さんが夫を亡くし先行きが不安であったとしても、花子さんは法定相続分通りの遺産分割を行う必要があります。

つまり、太郎さんの預金5000万円に関しては、両親が存命の場合は花子さんが約3300万、母親が約1700万円で遺産分割をし、両親が死亡している場合は、花子さんが3750万、長男が1250万円で遺産分割を行う必要があります。

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まあですがよく人関係に関してはまだきっちりと相続人間で分割ができますので、花子さんとしてはそこまでややこしくはないのですが、問題は太郎さんが名義人となっており今も花子さんが住んでいる自宅不動産です。

この場合、太郎さんが生前に100%の権利を持っていた土地や建物は、全て法定相続分に合わせて相続人全員で共有することになるんですね。

子供がいない場合の不動産の相続

そうしますと、もうこの自宅に住んでいる花子さんは、共有者の同意がなければ不動産を売却したり取り壊すこともできませんし、共有者が亡くなってその共有者の相続人がまた共有で不動産を相続した場合、権利者がどんどん増えてより権利関係が複雑になっていくんです。

では、そういったトラブルを避けるためにどうすればいいのかと言うと、ここで出てくるのが遺言書です。

生前に太郎さんが、自分の財産は全て配偶者である妻に相続させるという内容の遺言書を作っておけばいいんですね。

そうすることにより、太郎さんの親や兄弟がどのような遺産分割内容を主張したとしても、遺言書の内容が優先されます。

結果、太郎さんの預金や自宅不動産の権利は全て花子さんが相続することができるんです。

そして花子さんは、その遺言書やその他必要書類を揃えて司法書士に依頼をし、法務局での手続きが完了すれば名実ともに自分の自宅として、この先も何の不安もなく住み続けることができるんですね。

これでこの2番の子供のいない家庭における問題のほとんどは解決できるのですが、この場合における注意点としては、亡くなった夫の親御さんが存命の場合は妻は親御さんから遺留分を請求された場合に、その請求に応えなくてはいけないということです。

遺留分侵害額請求の解説

遺留分というのは、亡くなった方の相続人が最低限の遺産を確保するために設けられた制度のことでして、今回のケースのように亡くなった夫の財産を全て特定の1人に相続させるといった、偏った内容の遺言が執行された場合に、各相続人は遺留分侵害額請求という形で、自分の法定相続分の半分までの金銭を財産を取得した相続人に対して請求することができるんです。

ただし、遺留分侵害額請求ができるのは亡くなった方の配偶者、子ども、孫などの直系卑属、親、祖父母などの直系尊属となり、亡くなった方の兄弟姉妹や甥・姪には遺留分を主張する権利がありません。

それに、遺留分で請求できるのはあくまでも自分の法定相続分の半分までの金銭ですので、不動産の持分などを請求することはできません。

そのため、今回のケースの場合、太郎さんが生前に自分の財産は全て配偶者である妻に相続させるという内容の遺言書を作っておけば、太郎さんの親御さんがすでに亡くなっている場合には、太郎さんの兄弟姉妹には遺留分は認められていませんので、遺言の内容通り、花子さんが全て財産を相続することができます。

ですが、太郎さんの親御さんが生きておられる場合には、太郎さんの母親には法定相続分である3分の1の半分、6分の1までの遺留分が認められていますので、1億円の6分の1である約1600万円までの金額を、花子さんに対して請求することができるんです。

今回のケースの場合、花子さんは太郎さんから預金5000万円も受け取っていますので、この中から太郎さんのお母さんに対して1600万円を支払うことができますが、この1600万円が払えないという場合には、相続した自宅を売却したお金で1600万円の遺留分を補填しなくてはいけません。

ですので、現在夫婦2人で子供がいないというご家庭の場合には、遺言書を作成しつつ相続が発生した後の遺留分のことまでを考えて、事前に生命保険を活用した財産の構成なども考えていただければと思います。

遺留分対策としての生命保険の活用方法については、次の章で詳しく解説していきますね。

 

③離婚した前のパートナーとの間に子供がおり、現在再婚をしている家庭

最後に生前に遺言書を作っておくべき家庭の3つ目は、離婚した前のパートナーとの間に子供がおり、現在再婚をしている家庭です。

なぜこのケースの場合にも生前に遺言書を作っておくべきなのかというと、以前のパートナーとの間の子供というのは、たとえ何十年も離れて暮らしていたとしてもこちらの五郎さんの相続人となるんですね。

前パートナーに子供がいる場合の法定相続人
ですので、五郎さんが亡くなった際に五郎さんの相続人となるのは、現在の妻である春子さんと子供の小春さん、そして前妻との子供である小夏さんとなり、法定相続分は春子さんが2分の1、小春さんと小夏さんがそれぞれ4分の1となります。

先程のお話と同様に、五郎さんが生前に遺言書を作成していなければ、小夏さんには五郎さんの財産1億円に対し4分の1の相続権がありますので、相続財産をお金で受け取りたいという場合には1億円の総財産のうち2500万円を相続する権利がありますし、預金を2500万円も渡せないという場合には、春子さんと小春さんが現在住んでいる五郎さん名義の自宅を共有で分割することになります。

この場合のデメリットは、先程お話しした通りです。

共有者である小夏さんの同意がなければ、春子さんや小春さんは不動産を売却したり取り壊すこともできませんし、小夏さんが亡くなってその相続人がまた共有で不動産を相続した場合、権利者がどんどん増えてより権利関係が複雑になってきます。

ですが、自分が住むわけでもない不動産の持分を相続しても、小夏さん自体にはあまりメリットはありませんので、恐らく小夏さんは自分の法定相続分に応じた預金額を相続したいという主張をされるでしょう。

ですが、春子さんや小春さんもこれから先の生活を考えれば少しでも多くの現金を手元に残しておきたいと、このように3分割に苦しむわけです。

そのため五郎さんに生前に行っておいていただきたいのが、遺言書の作成と遺留分対策としての生命保険の活用です。

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五郎さんが生前に、自分の財産は全て配偶者である春子と子供の小春に相続させるという内容の遺言書を作っておけば、小夏さんが主張できる遺留分は本来の法定相続分4分の1の半分、8分の1となり、小夏さんは五郎さんの1億円の財産のうち1250万円までの金銭しか請求することができなくなります。

それでもやはり五郎さんの預金は3000万円しかありませんので、せめてもう少しでも遺留分として小夏さんに渡す金額を抑えることはできないかという場合を想定し、五郎さんにはもう1つの対策として、生命保険の活用を生前に行っておいていただきたいと思います。

生命保険を使った遺留分対策

例えばこのスライドのように契約者・被保険者が五郎さんで、受け取り人が春子さんの1000万円の生命保険、同様に契約者・被保険者が五郎さんで、受け取り人が小春さんの500万円の生命保険に五郎さんが加入していたとします。

その後、五郎さんが亡くなった際には、保険会社から春子さん小春さんに対して生命保険金が振り込まれることになりますが、この生命保険金というのは現預金や不動産とは違い、受け取り人固有の財産ですので、他の相続人と分割をする必要はありませんし、500万円×法定相続人の数までは五郎さんの相続財産に計上する必要がありません。

今回、五郎さんが亡くなった際の法定相続人は、春子さん、小春さん、小夏さんの3人ですから、生命保険金の非課税枠は1500万円となり、この部分の金額は五郎さんの相続財産にはならないですね。

つまり順番に見ていきますと、五郎さんは手持ちの3000万円の預金から1500万円分の生命保険を掛けたので手持ちの預金は1500万円です。

この状態で相続が発生すると、五郎さんの財産額は預金1500万円、不動産7000万円の8500万円になり、小夏さんはこの8500万円のうちの8分の1に対して遺留分を請求することになるんですね。

遺言書や生命保険を使用した対策との比較

8500万円のうちの8分の1は約1050万円ですので、五郎さんが生前に遺言書を作成し、生命保険を活用することにより、妻である春子さんと娘の小春さんに対して遺言書を作成していない時よりも、1500万円ほど多くお金を残してあげることができました。

あとはこういった遺留分のことまでも考慮に入れていただき、専門家の指導のもと、生前から春子さんや小春さんに対して効率的に生前贈与を行っていただければ、残された家族も安心して生活をすることができるでしょう。

 

まとめ

今回は、生前に遺言書を作っておくべき家庭の特徴として、相続人の中に中程度以上の症状を持つ認知症患者がいる家庭、子どものいない家庭、離婚した前のパートナーとの間に子供がおり、現在再婚をしている家庭という3つの家庭についてお話ししました。

実際に私自身、この3つのケースに該当する家庭の方から相談を受けることも多いのですが、やはりこれらのケースに当てはまる場合には、亡くなった方が生前に遺言書を作成していないと相続が発生した後ではもう打つ手がないんですね。

ですので、この記事をご覧になっている親御さんで、うちは今回紹介された家族に該当しているという場合には、必ず相続税の専門家に相談をしながら遺言書の作成や生命保険、それに生前贈与の活用などを行っていただきたいと思います。

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秋山 清成
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